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- 最近の人民元と今後の展開(2017年7月号)~「基準値設定方法変更」報道後の動きは?
1――6月の人民元の動き
なお、6月は日本円が米ドルに対して下落したため、日本円に対する人民元レートは100日本円=6.0375元(1元=16.6円)と、前月末比2.1%のやや大きめの元高・円安となった(図表-3)。
2――今後の展開
一方、米国では経済の持続的拡大が続いており、今後も段階的に政策金利を引き上げると見ているものの、トランプ政権への期待が萎むとともに米国の長期金利は低下、米中の長期金利差は拡大し始めている(図表-6)。従って、米利上げが先行するため米中の短期金利差は縮小するものの、米中の長期金利差は縮小しないと見て、米ドルに対する人民元レートはほぼ横ばいと予想している。
人民元レートに影響するポイントに絞ると、第一にトランプ大統領の去就が挙げられる。トランプ政権に対する期待は既に萎んでおり、退陣となってもドル安・元高に振れる可能性は低いだろう。むしろ、不透明感が払拭されるとともに、ペンス新大統領に対する期待が高まってドル高・元安に振れる可能性が高い。第二に中央政治局会議で示される17年下期の経済運営方針が挙げられる。ここで金融引き締め強化に重点が置かれれば、米利上げと同時に基準金利を引き上げる可能性が高まって、ドル安・元高の要因となるだろう。第三に米中包括経済対話を控えた市場介入スタンスが挙げられる。ここもと中国政府(含む中国人民銀行)はバスケット通貨の動きに緩やかに連動させるスタンスを続けている。基準値設定方法の変更が無ければ、そのスタンスを続けるものと見られる。但し、トランプ大統領の退陣を契機に、市場でドル買い元売りの動きが加速すれば、米中通商交渉を有利に運ぶためにも、元買いドル売り介入などで人民元の下落を最小限に留める可能性が高いと見ている。
また、国際会議としては、7月7-8日に開催されるG20首脳会議が注目される。しかし、4月のG20財務省・中央銀行総裁会議で「通貨安競争の回避」というスタンスが踏襲されたことを踏まえると、G20首脳会議でも同様の結論になる可能性が高く、人民元レートへの影響は限定的と見ている。
なお、今回の予測対象期間中には基準値の設定方法が変更される可能性がある。というのは、5月26日に中国人民銀行(その傘下にある中国外貨取引センターを含む)が基準値設定方法の変更を検討していると伝えられたからである。今のところ人民元の値動きに大きな変化は見られない。図表-7に示したように4月中旬までの人民元レート(対米ドル)はユーロドルに半分程度の比率で連動する関係だった。その後4月中旬から5月まではその連動関係が一旦崩れたものの、6月に入ると再び半分程度の比率で連動する関係に戻っている。この件に関しては中国人民銀行の詳細発表に注目したい。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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三尾 幸吉郎
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(2017年07月04日「基礎研レター」)
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