2017年05月12日

予算編成、税制改革の動向-未だ詳細は不明。議会共和党からの支持が鍵だが、政策協調の可能性は低い。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
  1. 既に年度開始から7ヵ月が経過した17年度予算(16年10月~17年9月)は、5月5日にトランプ大統領が統合歳出予算法に署名したことで漸く成立した。これで議会の予算編成作業は、18年度に焦点が移った。
     
  2. 3月中旬に、トランプ大統領が議会に提出した18年度予算教書は、歳出の一部についてのみ示される異例の内容であった。同予算案では、国防予算を大幅に増額する一方、それ以外の予算を大幅に削減することで、歳出総額を抑えることを要求している。しかしながら、18年度から強制歳出削減に基づく歳出上限が適用されるため、予算案の実現には、国防費の歳出上限を引上げる法案を超党派で成立させる必要があり、国防以外の予算が大幅に削減されることに対する民主党からの反発が予想されるため、その実現は難しい。
     
  3. 一方、4月下旬にトランプ政権が提示した税制改革骨子は、個人や法人所得税の大型減税などの方向性を示したものの、財源案が示されないなど、具体的な政策立案が進んでいない状況を露呈した。
     
  4. 税制改革を実現するためには、トランプ政権と議会共和党との政策協調が不可欠だが、今回の税制改革案では債務残高が大幅に増加する見込みとなっており、債務残高の削減を目指す議会共和党と考え方の開きが大きい。
     
  5. 今後、予算編成や税制改革の議論が本格化するが、トランプ政権が目指す予算案や税制改革がそのまま実現する可能性は低く、大幅な軌道修正を余儀なくされるだろう。

 
債務残高見通し(GDP比)
■目次

1.はじめに
2.予算編成の動向
  (1)17年度予算:統合歳出予算法が成立。政府機関の閉鎖リスクは回避
  (2)18年度予算:予算教書は、国防予算の大幅増額を要求。
     ただし、歳出上限の緩和は困難
3.税制改革の動向
  (1)税制改革骨子:個人、法人所得税率の大幅な引き下げ方針も、
     詳細な制度設計は不明
  (2債務残高の見通し:今後10年で6.2兆ドル(GDP比22%)の増加見込み
4.今後の見通し
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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