2017年04月25日

予定利率の開示について-顧客にとってわかりやすい開示とは

小林 雅史

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4――各生保会社の保険料率改定や予定利率改定の開示の状況

冒頭の小著でも紹介したとおり、2017年4月3日現在、生保商品を販売中の40社のうち、標準利率引き下げに伴う対応として予定利率の引き下げなど、保険料率の改定についてプレス発表している会社は14社で、うち予定利率を開示している会社は11社となっている。

一方、標準利率引き下げに伴う対応として予定利率の引き下げなどについてプレス発表が行われていない会社は26社である(このほか、前述のとおり、標準利率の引き下げに伴い保険料率を改定するとプレス発表しているが、予定利率を開示していない会社が3社ある)。

この26社については、プレス発表が行われていないことから、予定利率の引き下げなどの保険料率の改定の有無やその内容は不詳となっている。

なお、標準利率の改定が適用されない外貨建保険、変額保険などを銀行窓販を中心に販売している会社がうち数社あり、こうした会社や、保障性商品を中心に販売している会社などは、保険料率の改定が行われていない可能性もある。

実際には、保険料率の改定を実施しているにもかかわらず、対外的に保険料改定の事実についてプレス発表を行わず、ディスクロージャー資料においても特段の言及を行わない会社が複数存在するようである。
 

5――おわりに(私見)

5――おわりに(私見)

生保各社は、マイナス金利など異常な低金利下においても、新規契約の保険料負担をなるべく抑制するため、保険料率の改定についてさまざまな創意工夫を行っている。

一方で、保険料率の改定を実施しているにもかかわらず、対外的に保険料率改定の事実についてプレス発表を行わない会社もあるようである。

一般に、値上げや販売停止の前には駆け込み需要があるのが常であり、こうした状況などを勘案して各社が判断しているのであろうが、個人的には、保険料率が改定されるのにアナウンスがされないことに違和感を覚える。

当然、顧客が保険商品の購入を検討している場合には、保険会社から保険料が明示されているし、間近に保険料率の改定が想定される場合には、その旨も個々の顧客には知らされるのであろうが、保険商品の対価である保険料率の改定について、保険商品の購入を検討している顧客だけではなく、広く一般顧客にもホームページなどを通じて開示することが望ましいのではないか。

その際には、保険料率の改定の概要として、保険契約者にとってきわめて重要な指標である予定利率の改定内容を示すとともに、経営努力の結果である保障性商品の保険料引き下げなどの事実も示すべきではないか。
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(2017年04月25日「保険・年金フォーカス」)

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