2017年04月18日

最近の自然災害の状況-災害・防災、ときどき保険(1)

保険研究部 主任研究員 年金総合リサーチセンター・気候変動リサーチセンター兼任 安井 義浩

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2「災害救助法」が適用された災害
災害救助法という法律名は、なにか災害があるたびに報道でも耳にすることが多いものだろう。この法律の目的は、

「災害に際して国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序の保全を図る」(災害救助法第1条)

というものであり、避難所の供与、食料・飲料水の供給、医療、被災者の救出、などの救助を行う。最近適用を受けた自然災害と地域(実際は市町村等単位で適用されるが、ここでは都道府県までにとどめた。)は下の表のようになる。

なお生命保険の場合、災害救助法の適用地域では、保険料払込猶予期間が6か月延長されるなどの救済措置が適用されることが多い3。損害保険ではそれに加え、1年更新の契約が多いからか、契約更改手続きが6か月延長されるなどの措置も適用される。各共済事業や少額短期保険会社でもほぼ同様の対応がなされている。

【災害救助法の適用(H26年度以降)】
災害救助法の適用(H26年度以降)
(内閣府HP4の記載を、筆者が一部簡略化して作成)
 
3 東日本大震災時の東京都などは災害救助法の適用を受けたものの、大量の帰宅困難者の発生という事情なので、保険料猶予期間の延長対象とはなっていない、といったケースもある。
4 災害救助法の適用状況 内閣府HP  http://www.bousai.go.jp/taisaku/kyuujo/kyuujo_tekiyou.html
3自衛隊の「災害派遣」があった災害
また、もうひとつ別の見方をあげると、自衛隊法の適用により、災害派遣の要請があったような事例をみてみると、以下のようなものになる。

自衛隊法では、自衛隊の行動につき定められており、「防衛出動」をはじめ20以上の項目が列挙されているが、その一つに「災害派遣」がある。これについては、

「都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる、」とされている。
 
【災害派遣(H26年以降の陸上自衛隊の例)】
災害派遣(H26年以降の陸上自衛隊の例)
陸上自衛隊の派遣例をみると、被害が実際にでたというよりは、山林火災の消火活動とか、不発弾処理、鳥インフルエンザ発生時の物資輸送など、自衛隊にしかできない危険な処理とか、一般の人々が被害を受ける地震時の支援に比べて特殊な任務が多いようである。また、海上自衛隊の派遣については、逐一の事例がまとまって公表されてはいないようなので、表にはしなかったが、東日本大震災での救援物資の輸送、海難事故における救出活動や、離島における急患輸送などを年間数百件規模で行なっている。さらに航空自衛隊も、台風・豪雨・豪雪・地震などによる被災地への支援・防疫、遭難者の救出活動、重傷患者の空輸、民家・山林火災の消火など、年間100件以上の災害派遣を行なっている。
 

2――おわりに

2――おわりに

さて今回は、日本における自然災害のうち、いくつかの視点で「規模の大きな」ものが、これまでどんなものがあったかをみて頂ければよいのだが、ほとんど毎年なんらかの災害が発生しているといってよい。自然災害については、発生する時期の予想や規模などの点で、人の手で完全に克服できるとは思えない。しかし、国や都道府県、自衛隊などの機関の体制整備が相当程度なされており、それは今でも何かあるたびに、被害を教訓とするなどして改善されている途上にあるようだ。大きな災害に見舞われないうちに、次回から、そうした防災体制の整備状況や、あるいはそのひとつとしての保険・共済の役割などについて、改めてみていくことを予定している。
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保険研究部   主任研究員 年金総合リサーチセンター・気候変動リサーチセンター兼任

安井 義浩 (やすい よしひろ)

研究・専門分野
保険会計・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1987年 日本生命保険相互会社入社
     ・主計部、財務企画部、調査部、ニッセイ同和損害保険(現 あいおいニッセイ同和損害保険)(2007年‐2010年)を経て
     2012年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2017年04月18日「基礎研レター」)

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