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プレミアムフライデーと休日の格差-新しい格差が広がらないようにより慎重な働き方改革の実施を!-
生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
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1――働き方改革の一環としてプレミアムフライデーを導入
プレミアムフライデーとは、長時間労働の是正と個人消費の喚起を狙い、月末の金曜日は、早めに(一般的には午後3時)仕事を終えて豊かに過ごすという行動を官・民が連携して創り出すプロジェクトである。
しかしながら、日本のプレミアムフライデーは、アメリカで定着しているブラックフライデー1を参考としているように、制度の本当の趣旨は長時間労働の是正より、早い時間から買い物や旅行などをしてもらうことにより、消費を拡大させ2020年までに名目GDP600兆円を達成することであると言えるだろう。経団連は、その実現のためには現在300兆円弱にとどまっている個人消費を今後360兆円までに引き上げる必要があるとみている。個人消費が現在より20%も増加しなければならない。
1 ブラックフライデー(Black Friday)とは、アメリカにおいて小売店などで大規模な安売りが実施される11月の第4金曜日の大きなイベントである。
2――消費が改善されない理由は?
このように消費が改善されていない要因の一つとしては、政府が思った以上に賃金が上がっていないことが挙げられる。実際、近年の賃上げ率は、政府がかねてから掲げている要求基準2%を下回っている。つまり、2017年2月の現金給与総額(名目、速報値)は262,869円で前年同月に比べて0.4%増加するのに留まっている。また、物価上昇率を反映した実質賃金の増減率は0.0%で賃金がほぼ上がっていない状況である。さらに、賃金増減率の長期的な推移を見ても状況はあまり変わらない。
2 2017年2月の消費が前年同月に比べて減少したのは2016年がうるう年であった影響もありえるだろう。
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生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
03-3512-1825
- プロフィール
【職歴】
独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
・2021年~ 専修大学非常勤講師
・2021年~ 日本大学非常勤講師
・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
・2024年~ 関東学院大学非常勤講師
・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
東アジア経済経営学会理事
・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
【加入団体等】
・日本経済学会
・日本労務学会
・社会政策学会
・日本労使関係研究協会
・東アジア経済経営学会
・現代韓国朝鮮学会
・韓国人事管理学会
・博士(慶應義塾大学、商学)
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