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どのような人がリスク許容度が高いのか?-個人投資家のリスクプロファイリングに関する実証分析
北村 智紀
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4――どのような人がリスク許容度が高いのか
「公的年金は信頼できる」
かについて、
1: ほとんどそう思わない、
2: あまりそう思わない、
3: どちらかといえばそう思わない、
4: どちらかといえばそう思う、
5: わりとそう思う、
6: かなりそう思う、
の6つの選択肢で尋ねたものである。選択肢は6つあるが、分析の容易性を考えて、回答者数の少ない選択肢を統合して公的年金への信頼の程度を(1)年金信頼低 ~ (4) 年金信頼高の4つのカテゴリーに分類した。次に、老後の生活資金への不安度は、
「老後の生活は公的年金だけでは不安である」
かについて上記の選択肢で尋ねたものである(以下、選択肢は共通)。老後資金への不安の程度を(1)老後資金不安低 ~ (4) 老後資金不安高の4つのカテゴリーに分類した。不安高の方が老後資金への不安が高いことを表す。老後の生活に対する楽観度は、
「老後は楽しく暮らせるはずだ」
について尋ねたものである。同様に、老後の生活に対する楽観の程度を(1)老後生活悲観 ~ (4) 老後生活楽観の4つのカテゴリーに分類した。最後に、人生設計を行っているかの程度については、
「自分は人生設計を考えている」
について尋ねたものである。人生設計を行っているかの程度について、(1)人生設計低 ~ (4) 人生設計高の4つのカテゴリーに分類した。
リスク許容度とこれら4つの指標との関係性の分析には、以下の多項ロジット回帰分析(MNL)を利用した。
図表5は老後の生活資金への不安度とリスク許容度の関係を表した図である。生活資金への不安度が高い人は、リスクを回避する傾向が強い可能性がある。一方、生活資金への不安度が高ければ、何か自助努力をする必要があり、そのためには一定のリスクを引き受ける必要があると認識している可能性がある。どちらの方が強いか検証する。老後資金不安低(1)と老後資金不安高(4)との差を比較すると、老後資金不安低(1)では、「我慢」の構成割合は約39%であったが、老後資金不安高(4)では49%と約10%ポイント増加している。これは統計学的に有意な増加である。その他のリスク許容度変数の増減は有意ではなかった。つまり、老後の生活資金への不安度が高い人の方が、自助努力の必要性等を感じて、リスクに対する我慢を許容できる人が増加する。その結果、他の条件が一定であれば、株式や株式投信への資産配分が増加する可能性があることが示唆される。
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