米国では、人々はどのように生命保険に加入しているのか(3)~リムラ&ライフハプンズの保険バロメータースタディより-米国の生命保険非加入者が生命保険に加入しない理由- | ニッセイ基礎研究所
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米国では、人々はどのように生命保険に加入しているのか(3)~リムラ&ライフハプンズの保険バロメータースタディより-米国の生命保険非加入者が生命保険に加入しない理由-
松岡 博司
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1――米国の人々が生命保険に加入しない理由(日本との対比)
グラフ2は日本で生命保険文化研究所が2016年に実施した「平成28年版 生活保障に関する調査」の中から「(生命保険・医療保険・個人年金のいずれにも加入していない)非加入者」を対象に、「加入していない理由」として、質問者が提示した各理由候補が該当すると答えた回答者の割合(%)をグラフにしたものである。こちらは「メジャーな理由」、「マイナーな理由」という区分を行っていない。
グラフ2の項目建ては、米日を対比しやすいように、グラフ1の各項目と内容が近いと思われる項目をグラフ1と同じぐらいの位置に来るような形で並べてある。
とはいえ、昨今のわが国の生保業界では若者の加入率が低下していることが頭の痛い問題となっており、若者に関しては、米国の調査結果が参考になる点が多いと思われる。
グラフ1とグラフ2にもどって、先に米国と日本の調査の異同をまとめておくと、以下の通りである。
米国の調査は、生命保険加入・未加入に関係なく全ての調査参加者を対象に質問を投げかけている。未加入者には、「なぜ生命保険に加入していないのか」の回答として提示された理由候補が当てはまると思う場合、加入者には「生命保険を買い増すつもりがない場合」でかつ「なぜ生命保険を買い増すつもりがないのか」の回答として提示された理由候補が当たっていると思う場合、にイエスと回答してもらい、その両者をあわせた回答数が全調査対象者に占める割合を調べている。ここで「非加入」というのは狭義の生命保険に加入していないということで、生保会社の商品である個人年金や医療保険に加入していても、狭義の生命保険に加入していなければ「非加入」となる。
一方、日本の調査では、「加入者」は質問を投げかける対象から除かれており、「非加入者」だけを対象に、「なぜ加入していないのか」の回答として提示された理由候補が当てはまると思う場合にはいと答えてもらい、その人数が全非加入者に占める割合を見ている。また「非加入」は「生保会社が提供する生命保険、医療保険、個人年金等のいずれにも加入していない」状態を指している。
米国では、「保険料が高すぎる(64%)」、「他に金融優先度が高いものがある=他にもっと優先順位の高い財務上の課題がある(59%」、「私は必要なだけ加入している(加入者の場合)(57%)、必要を感じない(非加入者の場合)(43%)」が、生命保険に加入しない(または買い増さない)理由のトップ3である。メジャーな理由だけで見ても、このトップ3が他を圧している。
「いくらの保障が必要なのか/どのようなタイプの商品を買うべきなのか、確信が持てない(40%)=生命保険のことがよく分からない」、「保険エージェントを信頼していない(38%)」、「保険会社を信頼していない(38%)」がこれらに続く。
続いて、「今まで生命保険に関わる暇がなかった(35%)」、「死について考えることがいやだ(34%)」という「先伸ばしの態度」の問題が後に続き、さらに「誰も私に生命保険販売のアプローチをしてこない(28%)」、「私は加入要件を満たしていないだろう(27%)」が続く。
「保険エージェントを信頼していない(38%)」、「保険会社を信頼していない(38%)」という「信頼に関する問題」が各々38%の回答率となっている。ただし「信頼の問題」をメジャーな理由として挙げる消費者は12~13%にすぎない。
また、「今まで生命保険に関わる暇がなかった(35%)」、「死について考えることがいやだ(34%)」という「先伸ばしの態度」の問題はほとんどの場合、マイナーな理由として挙げられるものではあるが、普遍的な生命保険購入の障害事項だ。
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