2016年10月25日

生命保険の普及状況-世帯加入率、浸透率、人口に対する保有契約の割合

小林 雅史

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1――はじめに

わが国における生命保険の加入率については、生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」における「世帯加入率」が著名である。

生命保険に関する全国実態調査は、1965年から3年ごとに行われている、全国の世帯員2人以上の世帯を対象にした世帯調査で、一般家庭における生命保険の加入実態を中心に、老後生活や万一の場合の生活保障に対する考え方などをまとめたものである。

また、同じく生命保険文化センターの18~69歳の男女を対象とした個人調査である「生活保障に関する調査」における「生命保険・個人年金保険加入率」もある。

このようなアンケート調査のほかに、生命保険の普及状況について数値化したものとして、「生命保険浸透率」(生命保険普及率)という概念がある。

生命保険浸透率とは、GDPに対する生保収入保険料の割合であり、この数値が高いほど、国民の保険への指向が強いものと考えられている。

また、人口に対する保有契約の割合も生命保険の普及状況の尺度とされる場合があり、たとえば、「国民のうち○人に1人が○○保険に加入している」などと称される。

本稿では、こうした生命保険の普及状況に関する数値を振り返ることで、わが国における生命保険への指向の変遷について紹介することとしたい。
 

2――生命保険文化センターによる調査

2――生命保険文化センターによる調査

1生命保険に関する全国実態調査
生命保険に関する全国実態調査は、1965年から3年ごとに行われている、全国の世帯員2人以上の世帯を対象にした世帯調査である。

たとえば直近の2015年調査では、同年4月2日から5月17日まで、全国436地点で質問表を留置、回収するかたちで調査し、4,020サンプルについて回答が得られたもので、世帯主の平均年齢は58.2歳、同居家族は平均3.2人などとなっている1

生命保険世帯加入率(個人年金保険を含む)は、回答全世帯のうち、世帯員のうち少なくとも1人以上が加入している世帯の割合であり、1994年調査の95%をピークとして減少傾向が続き、直近の2015年調査では89.2%と90%を割り込んでいる。

2015年調査の世帯加入率89.2%を加入機関別に見ると、民間保険会社(民保)78.6%、簡保13.4%、JA共済8.5%、県民共済・生協等28.4%となっている。
(表1)生命保険の世帯加入率
2|生活保障に関する調査
生活保障に関する調査は、1987年から開始され、近年は3年ごとに行われている、全国の18~69歳の男女を対象とした個人調査である。

直近の2016年調査では、同年4月2日から6月3日まで、全国400地点(熊本県は地震の影響により、大半を隣接県に振り分け)で面接聴取法(加入状況部分は一部留置聴取法を併用)により調査し、4,056サンプル(うち男性1,746サンプル、女性2,310サンプル)について回答が得られたものである2

生命保険・個人年金保険加入率は、グループ保険や財形を除く加入率であり、直近の2016年調査では82.4%(うち男性81.7%、女性83.0%)となっている。

男性の加入率は1993年の87.1%をピークに長期的な減少傾向が続いているが、女性の加入率は近年増加に転じ、2010年調査以降、男性の加入率を超えるに至っている。
(表2)生命保険・個人年金保険加入率
 
1 「調査要領」『平成27年度 生命保険に関する実態調査』、生命保険文化センター、2015年12月。
2 『平成28年度「生活保障に関する調査《速報版》』、生命保険文化センター、2016年9月。
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