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訪問看護師の拡充-在宅ケアの担い手の整備は進むか?
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
2――訪問看護の現状
1|訪問看護事業は、医師の指示に基づいて行われる
まず、訪問看護の内容から、見ていくこととしたい。訪問看護とは、疾病や負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある人に対し、療養上の世話、または必要な診療の補助を、看護師等が行うことをいう。具体的には、公的介護保険の場合、居宅要介護者の、心身状況の観察、体温・脈拍・血圧・血中酸素飽和度の測定、痰の吸引、口腔ケア、食事の介助、胃瘻(いろう)からの水分・人工栄養剤・医薬品の投与、排泄の介助・おむつ交換、などを指す1。
訪問看護事業は、医師の指示に基づいて、看護職員2が居宅要介護者等を定期的に訪問して、訪問看護を行うことを指す。
2|訪問看護の利用者は伸びている
続いて、訪問看護の利用者数の推移を見てみよう。訪問看護は、公的医療保険と公的介護保険に給付がある。このうち、公的介護保険は、65歳以上の居宅要介護者・要支援者、40~64歳の特定疾病の居宅要介護者・要支援者が対象となる3。利用者数は徐々に増加して、2016年には、42万人に達した。
1 痰の吸引と、胃瘻からの水分・人工栄養剤・医薬品の投与は、法律上は医療行為なので、医師と看護師だけに認められる行為である。厚生労働省の行政通達で、例外的に、要介護者と同居して介護している家族も、行うことが認められている。
2 看護師、准看護師、保健師、助産師を指す。
3 公的医療保険は、公的介護保険の給付対象者に加えて、居宅において継続して療養を受ける状態にあり、通院困難な患者(40歳未満の人及び40歳以上の要支援者・要介護者でない人も対象となる。なお、公的介護保険の給付は、公的医療保険の給付に優先することとされている。要介護被保険者等については、末期の悪性腫瘍、難病患者、急性増悪等による主治医の指示があった場合などに限り、医療保険の給付により、訪問看護が行われる。
4 就業時間をもとに、パートスタッフや非常勤の看護師等を、常勤の看護師等に換算した上で、従業員数を算定したもの。
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
公式SNSアカウント
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