2016年07月12日

急増する訪日外国人のホテル需要と消費支出-2014年の訪日外国人旅行者数は前年比+29%増、外国人延べ宿泊者数は同+34%増、消費額は同+43%増で2兆円を突破

竹内 一雅

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6|主要国籍別・道府県別にみた外国人宿泊者数
外国人の宿泊地は国籍によって多少の相違が見られる。主な国・地域のすべてで東京都での宿泊が最も多いが、大阪府が第二位となっているのが、アジア地域の韓国・中国・香港・マレーシア・インドネシア・ベトナム・フィリピンなどであり、北海道が二位となっているのが台湾、ロシア、シンガポール、タイで、京都府が二位となっているのが、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアなどの欧米系の国であった(図表-15)。

都道府県別にどの国・地域からの宿泊が多いのかをみると、台湾からの延べ宿泊者数が一位となっている道府県は25に達し、中国が一位なのは10都県、韓国が一位なのは8県、香港とアメリカが一位なのはそれぞれ2県であった。台湾が国籍別の宿泊者数の一位の道府県は、北海道や京都府のほかに、東北や北陸、四国などの県であり、相対的に外国人宿泊者が多くない地域でも一位となっている11。一方、中国からの宿泊者は外国人の主要な宿泊地である東京都や大阪府、千葉県、愛知県などで一位を占めており、韓国からは九州のほぼ全ての県で一位となるなど地域的な特徴が見られる(図表-16)。
図表-15:国籍別にみた外国人宿泊地ランキング(延べ宿泊者数、2014年)/図表-16:主要都道府県別にみた外国人の国籍別宿泊者数ランキング(延べ宿泊者数、2014年)
 
11 台湾が国籍別の延べ宿泊者数で一位となっているのは、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、群馬県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、島根県、岡山県、香川県、愛媛県、高知県、鹿児島県、沖縄県の25道府県だった。中国国籍が一位となっているのは、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、大阪府、奈良県の10都府県だった。韓国国籍が一位となっているのは、鳥取県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県の8県だった。

4――訪日外国人の旅行消費額の急拡大

4――訪日外国人の旅行消費額の急拡大

1|国籍別旅行消費額の推移
訪日外国人旅行客数の急増および円安の進展、アジア地域の所得の増大、免税品目の拡大・免税制度の簡素化などに対応して外国人旅行客の国内での消費額は拡大している。2014年の訪日外国人による旅行消費額12は2兆278億円と2兆円を突破し、前年比+43.1%の大幅な増加だった(図表-17)13

ホテルや旅館だけでなく、国内小売業者も特に大都市中心部においてその購買力を無視できなくなっており、東京や大阪などを中心に外国人旅行者をターゲットとした店舗開発が活発に進められている。

国籍・地域別に訪日外国人の消費総額の構成比を見ると、中国が全体の28%を占め、次いで台湾(同18%)、韓国(同10%)、アメリカ(同7%)、香港(同7%)となっている(図表-18)。2014年の消費額の前年比増加率は、中国が+102%増と高く、次いでタイ(+67%増)、台湾(+43%増)、マレーシア(+42%増)、インド(+36%増)と続いている(図表-19)。

2014年の訪日外国人一人当たりの旅行支出額は、15万1千円で前年比+10.6%の増加だった(図表-20)。国籍別に見ると、最も多いのがベトナムの23.8万円で、次いで中国(23.2万円、前年比+10.4%)、オーストラリア(22.8万円、+6.9%)、ロシア(20.2万円、▲4.1%)、フランス(19.5万円、▲4.5%)と続いている。なお、2015年第1四半期に、一人当たり支出額は2014年の15万1千円から17万1千円へと急増した。特に、中国の訪日外国人旅行者一人当たり支出額は23万2千円から30万円に増加している。
図表-17:訪日外国人の旅行消費総額の推移/図表-18:訪日外国人の国籍別旅行消費額構成比(2014年)/図表-19:訪日外国人の国籍別旅行消費額(2014年)/図表-20:訪日外国人の一人当たり旅行支出額(2014年、2015年Q1期)
 
12 ここでは訪日外国人の国内消費額に関する用語は「訪日外国人消費動向調査」に準じており、一人当たりの支出を「一人当たり旅行支出」とし、これに訪日外国人旅行者数を乗じた総額を「旅行消費額」とする。詳しい定義については訪日外国人消費動向調査を参照のこと。
13 訪日外国人による旅行消費額は2011年の8,135億円から急増している。
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竹内 一雅

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