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- 【8月米雇用統計】強弱結果が混在。雇用増ペースは鈍化したものの、失業率はFRBの目標水準まで低下。
【要旨】
1.結果の概要:雇用増加ペースは予想を下回る一方、失業率は予想を上回る改善
9月4日、米国労働省(BLS)は8月の雇用統計を公表した。8月の非農業部門雇用者数は前月対比で+17.3万人の増加1(前月改定値:+24.5万人)となり、前月から伸びが鈍化、市場予想の+21.7万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も下回った。
失業率は5.1%(前月:5.3%、市場予想:5.2%)と、こちらは前月から低下、市場予想を上回る改善を示した。一方、労働参加率2は62.6%(前月:62.6%)と前月から変わらず、市場予想(62.7%)を下回った(詳細はPDFファイルを参照)。
2.結果の評価:雇用者数は今後上方修正される可能性はあるものの、増加ペースは鈍化
8月の雇用増加は、後述のように前月が3万人上方修正された影響を考慮する必要はあるものの、15年1-7月の月間平均増加ペース(21.8万人)を下回り、15年4月以来の20万人割れとなった。もっとも、8月の雇用者数は、その後の上方改定幅が大きい傾向があり、過去5年間の平均改定幅が+7.9万人となっていることから、今後上方修正される可能性がある。このため、4日発表の数値だけで8月の雇用増ペースの鈍化を判断するのは早計である。
一方、失業率は5.1%と、前月から0.2%ポイント低下し、FOMC参加者の15年末の見通し(5.2-5.3%)を下回ったほか、長期目標水準(5.0-5.2%)のレンジ内に入ってきた。失業率だけをみれば、FRBが政策金利の引上げを正当化できる水準まで改善したと言える。
もっとも、労働参加率は77年10月以来の水準である62.6%から改善がみられない。労働参加率が低迷していることについて、米国で進む高齢化を指摘する向きもあるが、働き盛りの25-54歳でみても80.7%と金融危機前の83%台前半の水準から低迷しており、高齢化だけでは説明できない。このため、失業率が示すほど労働市場がタイトでない可能性が高い。
さらに、時間当たり賃金(全雇用者ベース)は前月比では+0.3%のプラスとなったものの、前年同月比では+2.2%(前月:+2.2%)の伸びに留まっており、2%程度の水準から加速がみられない。このため、賃金も労働市場がそれほどタイトになっていないことを示している。
このようにみてくると、8月の雇用統計は悪くはないものの、中国景気減速懸念などを背景に米株式市場が不安定化している中で、政策金利の引上げができるほど強い数値であったとは言えない。このため、8月の雇用統計は政策金利引上げ判断の決定打になり難いだろう。
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(2015年09月07日「経済・金融フラッシュ」)
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