2015年07月23日

貿易統計15年6月~4-6月期の外需寄与度は前期比▲0.5%程度のマイナスに

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・貿易収支の改善傾向は続く
・4-6月期の輸出数量指数は全ての地域向けで低下
・4-6月期の外需寄与度は2四半期連続のマイナスに


■要旨

財務省が7月23日に公表した貿易統計によると、15年6月の貿易収支は▲690億円と3ヵ月連続の赤字となったが、輸出が前年比9.5%(5月:同2.4%)と前月から伸びを大きく高める一方、輸入が前年比▲2.9%(5月:同▲8.7%)と6ヵ月連続で減少したため、貿易収支は前年に比べ7,650億円の改善となった。
原数値の貿易収支は小幅な赤字にとどまったが、6月は貿易収支が改善しやすいという季節性も影響している。6月の貿易収支を季節調整値で見ると▲2,517億円の赤字となり、赤字幅は5月の▲1,552億円から拡大した。輸出入ともに前月比で増加したが、輸入の増加幅(前月比5.8%)が輸出の増加幅(同4.4%)を上回った。季節調整済の貿易収支は東日本大震災が発生した11年3月から4年以上にわたって赤字が続いている。

4-6月期の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)で見ると、米国向けが前期比▲4.8%(1-3月期:同2.5%)、EU向けが前期比▲0.9%(1-3月期:同4.9%)、アジア向けが前期比▲5.1%(1-3月期:同1.8%)、全体では前期比▲3.7%(1-3月期:同0.3%)となった。
EU向けは1-3月期が高い伸びとなった反動もあり、米国向けは年初の寒波、港湾ストの影響が遅れて現れている可能性があるが、アジア向けは中国、その他新興国の景気減速を受けて実勢として弱い動きになっていると判断される。

6月までの貿易統計と5月までの国際収支統計の結果を踏まえて、15年4-6月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲3%程度の減少、輸入が前期比▲1%弱の減少となることが見込まれる。この結果、4-6月期の外需寄与度は前期比▲0.5%(年率▲2%程度)となり、1-3月期の前期比▲0.2%(年率▲0.7%)からマイナス幅が拡大するだろう。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、7/31のweeklyエコノミストレターで15年4-6月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、住宅投資、公的固定資本形成は比較的高めの伸びとなるものの、外需のマイナス幅が拡大することに加え、個人消費が4四半期ぶりの減少となることから、実質GDPは前期比年率▲1%程度のマイナス成長になると予想している。

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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2015年07月23日「経済・金融フラッシュ」)

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