2015年07月14日

欧米生保市場定点観測(毎月第二火曜日発行) 実施に移された英国の私的年金改革―終身年金の購入を強制する仕組みの終了―

松岡 博司

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■要旨

英国では、私的年金(確定拠出型年金)において、資産形成商品で蓄積した年金原資を、終身年金給付商品であるアニュイティの購入に充てなければならないとする税制があったことを背景に、終身年金が発達している。

しかし今般、4月6日より、税制が改められ、終身年金の購入を強制する仕組みは終息することとなった。

これにより退職者は、従来通り年金原資をアニュイティの購入にあてて終身年金の形で受け取る、年金原資を一時金として一括で受け取る(その後、消費するまたは他の貯蓄商品を購入する)、年金原資を引き続き運用しながら一部現金引出しが可能な商品(インカムドローダウン)の購入に充てる、年金原資を分割して引き出していく等、多様な方式の中から、自らの判断で選択することができるようになった。

この改革実施を前にして、2014年の英国生保会社のアニュイティ販売は急減した。

本稿は、退職者の自由度を増大させることを旗頭に実施された英国の私的年金改革の概要と、それにより終身年金事業に一定の歯止めをかけられることになった英国生保業界の動向をまとめるものである。

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松岡 博司

研究・専門分野

(2015年07月14日「基礎研レター」)

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