2015年02月02日

【10-12月期米GDP】前期比年率+2.6%、底堅い成長が持続

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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【要旨】

結果の概要:成長率は低下

1月30日、米商務省の経済分析局(BEA)は10-12月期のGDP統計(1次速報値)を公表した。10-12月期の実質GDP成長率は、季節調整済の前期比年率で+2.6%となり、7-9月期改定値(同+5.0%)から低下し、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の同+3.0%も下回った。
10-12月期のGDP成長率を需要項目別にみると、個人消費の伸びが加速した一方、設備投資の伸びは大幅に鈍化した。
内需のうち、個人消費は前期比年率+4.3%(前期:同+3.2%)と、06年1-3月期以来の高い伸びとなったほか、市場予想(同+4.0%)も上回った。また、住宅投資も前期比年率+4.1%(前期:同+3.3%)と前期から伸びが加速した。一方、設備投資は前期比年率+1.9%(前期:同+8.9%)となり、過去2四半期の高い伸びから大幅に鈍化したほか、前期に高い伸びとなった政府支出は前期比年率▲2.2%(前期:+4.4%)と前期の反動もあってマイナスに転じた。在庫変動は、10-12月期の成長率寄与度が+0.82%ポイント(前期:同▲0.03%ポイント)となり、成長率を押し上げる方向に働いた。
外需では、輸出が前期比年率+2.8%(前期:同+4.6%)と伸びが鈍化した一方、輸入は同+8.9%(前期:同▲0.9%)と前期のマイナスから反転し大幅に増加した。その結果、10-12月期は、純輸出(輸出―輸入)の成長率寄与度が▲1.02%ポイント(前期:同+0.78%)と、前期の大幅な押し上げから一転、成長率の押し下げ要因に転じた。
以上のように、10-12月期の成長率は7-9月期から低下した。前期は、国防関連支出の大幅増加や輸入減少などの一時的な要因により、成長率が押し上げられていたため、これらの要因が剥落する今期に成長率が低下することに驚きはない。しかしながら、輸出の伸び鈍化や設備投資の急減速は、海外景気のもたつきやドル高の影響も考えられるため、今後の動向には注意が必要だ。
一方、14年通期の成長率は、前年比+2.4%(前年:同+2.2%)と小幅ながら伸びが加速した。


米国の実質GDP成長率(寄与度)/米国のGDP(項目別)



 
 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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