2014年11月18日

【タイGDP】7-9月期は前年同期比+0.6%~1年ぶりに内需がプラス寄与~

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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1.7-9月期は前年同期比+0.6%

タイの国家経済社会開発委員会事務局(NESDB)は11月17日に2014年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)+0.6%の増加と、前期の同+0.4%から小幅に拡大したものの、Bloomberg調査の市場予想(同+1.0%)を下回った。


タイの実質GDP成長率(需要側、原系列)/タイの実質GDP(供給側、季節調整済)


2.政治の安定化と景気刺激策で内需主導の回復へ

7-9月期の実質GDP成長率は、引き続き+0%台の低成長であったが、これまで低迷していた内需が一転して拡大するなど景気の上向きを確認できる内容であった。個人消費は政治の安定化と所得の改善を背景に非耐久財およびサービス消費を中心に改善したほか、投資はタイ投資委員会による大規模投資案件の審査が再開によって民間投資を中心に回復している。

景気は回復しているとは言え、そのペースは遅れているため、政府は10月に総額3,645億バーツの景気刺激策・農家支援策を発表した。このほか、政府は予算執行の前倒しを表明しており、10-12月期の予算は総額1.1兆バーツと全体の43%を執行する予定としている。また、10月より2015~2022年の交通・輸送インフラ整備事業(2.4兆バーツ)がスタートするなか、公共投資のみならず民間投資の拡大も期待できる。

タイ経済の先行きは、こうした景気対策や政治の安定化を受けて消費・投資が加速し、景気は回復ペースを早めるだろう。また、政府の承認を控える公務員給与の引上げ(来年4月)、そして来月以降の金融政策決定会合で景気回復の遅れを理由に利下げが決まれば、更なる内需拡大が期待できる。なお、輸出は緩やかな改善が見込まれるものの、内需活性化により輸入が拡大するため、成長率に占める純輸出の寄与度は引き続きマイナスとなるだろう。

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

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