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- 【5月米雇用統計】4カ月連続の雇用増20万人超、雇用者は危機前のピークまで回復
【要旨】
結果の概要:4カ月連続の20万人超
6月6日、米国労働省(BLS)は5月の雇用統計を公表した。5月の非農業部門雇用者数は前月対比で21.7万人の増加 (前月改定値:+28.2万人)となり、4カ月連続で20万人を超える雇用増を達成したことになる。5月の雇用増は大幅増となった4月からは縮小したが、市場予想の+21.5万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)は上回った。
失業率は6.3%(前月:6.3%、市場予想:6.4%)と前月と変わらなかったが、こちらも小幅悪化を見込んでいた市場予想よりは良好であった。労働参加率は62.8%(前月:62.8%)と横ばいであり、労働市場の参入・退出状況は前月と比較してそれほど変化がなかったと言って良いだろう(詳細はPDFを参照)。
結果の評価:質の改善が注目される
5月は非農業部門の雇用数が1億3846.3万人に達した。金融危機前のピーク(2008年1月)が1億3836.5万人であり、6年以上かけ、ようやくこの水準を上回ったことになる。
ただし、雇用の中身には変化も見られる。製造業を中心とした生産部門の雇用が減り、サービス部門の雇用が増えている。比較的安定した収入を得られる生産部門からサービス部門へのシフトが進んでいるため、米国経済全体で見ると、賃金や労働時間は雇用数ほどの改善は見られない。パートタイム労働者などは危機前と比較して、依然として高水準である。
失業率にもひとつの節目が見えている。失業期間が27週未満の失業率が4%近くまで下がり、こちらも金融危機前の水準まで回復している。
一方、失業期間が27週以上の失業率は、低下傾向にあるものの水準は依然として高い。この要因としては、長期間の失業自体が、就職しにくくさせてしまうといったこと(いわゆる履歴効果)などが指摘できる。長期間の失業は構造的な要因となりやすく、また、長期間にわたり職を見つけられないと、求職意欲を失って労働市場からの撤退してしまうという懸念もある。失業期間は不明だが、(求職活動をしていない)非労働力人口のうち職に就きたいと考えている者は金融危機前と比較して多い。
雇用の最大化をひとつの使命とするFRBのイエレン議長は、賃金や労働時間の改善、長期失業者の(就職を促す良い意味での)縮小など、雇用の質を向上させることに対しても意欲的である。雇用の「量」の回復がひとつの節目を迎えたことで、今後は、こうした雇用の「質」の改善が注目と言える。
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- 【職歴】
2002年 東京工業大学入学(理学部)
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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