2014年05月01日

【台湾GDP】1-3月期は前年同期比+3.04%

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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1.1-3月期は前年同期比+3.04%

台湾の行政院主計総処(DGBAS)は4月30日、2014年1-3月期の実質域内総生産(GDP)の速報値を公表した。成長率は前年同期比(原系列)で+3.04%となり、前期の2013年10-12月期(同+2.95%)から小幅に加速した。これは2月に行政院主計処が公表した見通し(同+3.02%)、市場予想(同+3.00%)を小幅に上振れる結果であった。
台湾の実質GDP成長率(前年同期比、需要側)/台湾の実質GDP成長率(前年同期比、供給側)

2.個人消費と輸出に支えられた成長

2014年1-3月期の成長率は5四半期ぶりの3%台を記録した。ただし、項目別に見ると全項目で伸び率が前期を下回るなど経済が加速したという印象はなく、減速しつつも堅調な個人消費と輸出に支えられた成長であった。特に投資については、資本財の輸入が前年比で増加しているため需要拡大を期待したが、伸び率は大幅ダウンしてマイナスに転じるなど懸念材料も残る結果となった。投資の大幅な減少は在庫要因と見ているが、投資の内訳が開示される改定値(5月30日公表予定)で確認しておく必要があるだろう。

消費については、株高による資産効果や政府主導による誘致キャンペーンと中台関係の安定による外国人旅行客の増加など特に小売業の伸びが目立つなど堅調に推移している。

輸出については、欧米を牽引役とする世界景気の回復を受けて増加傾向は続いているが、中国の成長鈍化や主力の液晶パネルで中国・韓国メーカーとの競争激化など懸念材料もある。今後、成長分野のスマートフォンや得意分野の半導体で勝ち抜くことは必須と見られる。

中台貿易サービス協定を巡る国内の混乱については、国会の占拠は撤収されたものの、現在は撤収の条件として受け入れた監督条例の制定に政治体力が費やされている。監督条例は同協定を骨抜きにする可能性がある。また、今回の事態を受けて今後の対中関係強化策の修正は避けられないだろう。しかし、その必要性を国民に説明し、掴み掛った巨大な中国の消費需要をものにできるかどうかは、今後の政府の手腕にかかっている。
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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