2014年02月28日

鉱工業生産14年1月~駆け込み需要対応で増産ペースが加速

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・1月の生産は市場予想を上回る高い伸び
・2月、3月の生産計画は増税後をにらんだものに

■要旨

経済産業省が2月28日に公表した鉱工業指数によると、14年1月の鉱工業生産指数は前月比4.0%と2ヵ月連続の上昇となり、事前の市場予想(QUICK集計:前月比3.0%、当社予想は同2.0%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比5.1%と2ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比▲0.9%と6ヵ月連続の低下となった。
1月の生産を業種別に見ると、速報段階で公表される15業種中、11業種が前月比で上昇(4業種が低下)したが、特に輸送機械(前月比8.0%)、はん用・生産用・業務用機械(前月比9.6%)が高い伸びとなった。輸送機械は輸出が持ち直していることに加え、消費税率引き上げ前の駆け込み需要もあって国内販売の好調が続いていること、はん用・生産用・業務用機械は設備投資の持ち直しが明確となりつつあることを反映したものと考えられる。

製造工業生産予測指数は、14年2月が前月比1.3%、3月が同▲3.2%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(1月)、予測修正率(2月)はそれぞれ▲0.7%、0.3%となった。予測修正率は4ヵ月ぶりのプラス、実現率は10ヵ月連続のマイナスとなったが、マイナス幅は縮小した。
予測指数を業種別に見ると、足もとの生産を大きく押し上げている輸送機械(2月:前月比▲0.6%→3月:同▲2.8%)、はん用・生産用・業務用機械(2月:前月比▲1.5%→3月:同▲5.8%)は2月、3月ともに減産計画となっている。また、3月については予測調査が実施されている全ての業種が減産計画となっている。企業はすでに消費税率引き上げ後の需要の落ち込みに備えて在庫水準の調整を図り始めている可能性がある。
14年1月の生産指数を2月、3月の予測指数で先延ばしすると、14年1-3月期は前期比4.4%となり、13年10-12月期の前期比1.8%から増産ペースが加速することはほぼ確実とみられる。
2月、3月の予測指数は強くないが、13年度内に一定の生産調整が行われることによって増税後の在庫積み上がりが抑制されれば、その後の生産調整は軽微なものにとどまる可能性が高くなる。14年度入り後の生産動向を占う上では、消費税率引き上げ前後の在庫の動きが注目される。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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