2014年02月21日

試行錯誤のフォワード・ガイダンス~修正を迫られる米英、追加策を求められる日欧~

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  1. 12年12月から13年にかけて、主要中銀が相次いで先行き金融政策の道筋を示すフォワード・ガイダンスの新規導入や修正に動いたが、数値基準によるガイダンスを導入したイングランド銀行(BOE)は今月12日に修正、米連邦準備制度理事会(FRB)も3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で修正に動く可能性が高まっている。
  2. BOEの修正ガイダンスは、失業率を含む幅広い指標から把握した生産能力の余剰を政策金利決定の判断基準とし、余剰の解消には2~3年を要する、利上げ開始前に解消すべき余剰がある、など5つの方針を示した。景気回復テンポの加速で早期利上げ観測が強まり、緩和効果が途切れることを抑制しようとの意図が明確である。
  3. ECBは昨年7月にガイダンスを導入した後、11月に追加利下げ、今年1月にガイダンスを強化した。景気回復は米英に遅れをとっているが、バランス・シートの圧縮では先行していることもあり、ユーロ相場と金利には上昇圧力がかかりやすくなっている。ここ4カ月、インフレ率は中期目標の2%以下でその近辺を大きく下回る1%割れで推移している。ユーロ高圧力をかわすためにも、3月理事会で中期的なインフレ見通し悪化を理由とする何らかの追加策に打って出る可能性が高まっているように思われる。
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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

(2014年02月21日「Weekly エコノミスト・レター」)

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