2014年01月23日

【韓国GDP】輸出主導型の順調な回復

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.現状:回復が続く

韓国銀行(中央銀行)は1月23日、2013年10-12月期の実質国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前期比(季節調整済)で+0.9%となり、7-9月期(同+1.1%)からやや減速した(図表1)。ただし、前年同期比では+3.9%(前期:同+3.3%)と改善している。その結果、2013年通年の成長率は前年比+2.8%(2012年は同+2.0%)となった。これは年初に韓国銀行が公表した見通しと一致している。


韓国の実質GDP成長率(前期比、季節調整済)/韓国の実質GDP成長率(前年同期比、原系列)



2.輸出主導型の順調な回復

今回発表されたGDP統計からは内需、外需ともに改善が続いていることが明らかになった。昨年末には鉄道公社(KORAIL)で公営企業改革に反対するストライキが約1カ月間続くなど、国内の政治問題による経済活動の減速も懸念されたが、成長率への影響は限定的であり、総じて見れば、輸出主導型の順調な回復基調と言える。
ただし、輸出の勢いは強くなく、在庫の積み上がりも残っていることには注意が必要だろう。輸出拡大の期待は高まってきたが、その拡大ペースが緩慢であれば、再び成長が鈍化する可能性もある。現在は輸出主導型の景気回復の入口であり、まだ安定成長と判断するには早計と思われる。
こうした状況のなか、朴大統領は今年に入って、「経済革新3カ年計画」を公表、公営企業改革や中小企業の育成、規制緩和に取り組むことで内需を活性化させる方針を示した。ただし、これらの政策を打ち出したことで一時的に国内の景況感が改善する可能性はあるが、実際に政府が期待するような効果を上げることは難しく、3カ年計画の目標として掲げた1人当たり国民所得4万ドルの達成は困難だと思われる。
改革姿勢を打ち出したことは評価できるが、少なくとも、短期的には韓国経済の構造を変えることは難しく、当面は輸出の動向に左右される展開が続くと見られる。

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高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

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