2013年11月15日

一人勝ちのドイツ-強さの秘密、勝者の悩み

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  1. 一人勝ちの様相を呈するドイツも、ユーロ導入から2000年代半ばまでは、今とは逆に単一通貨圏内で最もパフォーマンスが悪く、「欧州の病人」という異名をとっていた。
  2. ドイツ経済が強さを取り戻したのはユーロ導入の効果が大きいと考えられているが、「ハルツ改革」と称する労働市場と税・社会保障制度との一体改革も転機となった。
  3. ハルツ改革の狙いは、働くインセンティブを高め、労働需要を喚起し、ミスマッチの解消を図ることにあった。
  4. 改革は、雇用の創出、構造的失業の削減、労働市場の柔軟性の高まりと言う成果を挙げたが、所得格差と不安定就業や低賃金労働の拡大という弊害も伴った。
  5. 来るべき第三次メルケル政権には、ユーロ圏内では成長と雇用の格差是正とともに、国内における格差の是正への要請が強まっている。競争力の維持と格差是正を両立できるのか、今後の展開が注目される。

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

(2013年11月15日「Weekly エコノミスト・レター」)

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