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- 生保加入検討行動は変わったか -「能動的顧客」は質的・量的に変化しているのだろうか
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■要旨
本稿では、筆者らが2009年に発表した弊社発行のレポートにおいて示した「能動的顧客」について、その後の動向を明らかにするとともに、ネット専業生保をはじめとしたネット完結型商品を提供する生保会社の増加や乗合型保険ショップの大量出店といった、チャネルや商品面での環境変化が消費者の加入プロセスや加入後の満足度に与える影響について概観した。
その結果、「能動的顧客」はその後も増加の一途をたどっており、いまや消費者の半数を占めるようになっていた。また、当時想定したように、その増加の大半は擬似能動顧客に拠っているものの、直近の2年間では、真性能動顧客についても増加の兆しがあることが示された。擬似能動顧客や受動顧客に比べ、厳しい選択眼を持つ真性能動顧客の増加は、売り手側にとってはより厳しい選別の目に晒されることを意味している。彼らの動向には引き続き注目しておく必要があろう。また、受動顧客においても少しずつ主体的な行動をとる兆しがみられたことは、受動顧客から擬似能動顧客への変化傾向が今後も続く可能性が高いことを示しているといえる。
一方で、チャネル多様化の進展といった環境変化については、乗合型保険ショップの満足度が他のチャネルに比べ高く、現状では複数の会社の商品をその場で比較できるメリットが評価されているようであった。ただし他のチャネルとの関係でみると、必ずしも一社専属の営業職員チャネルから顧客が離脱しているわけではなく、インターネットや郵送といった非対面型のチャネルを含め、それぞれのチャネルの特性を踏まえて、消費者はそれぞれの嗜好にあわせて使い分けている可能性も示されたように思われる。
また、顧客類型別の満足度に関する分析において、加入検討行動を主体的に進められる「能動的顧客」においても、加入後の時間経過とともに受動顧客と同様に満足度が逓減していることは、消費者の加入行動が変わっても、加入後のアフターフォローが重要であることに変わりはないことを意味しているといえよう。
(2013年11月12日「基礎研レポート」)
井上 智紀
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