2013年09月30日

鉱工業生産13年8月 ~生産の回復ペースは依然緩やかだが、年度末にかけて伸びが高まる公算

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・生産の回復ペースは引き続き緩やか
・年度末にかけて生産の伸びは高まる公算

■要旨

経済産業省が9月30日に公表した鉱工業指数によると、13年8月の鉱工業生産指数は前月比▲0.7%と2ヵ月ぶりの低下となり、先月時点の予測指数の伸び(前月比0.2%)、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲0.4%、当社予想は同0.4%)をともに下回った。
製造工業生産予測指数は、13年9月が前月比5.2%、10月が同2.5%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(8月)、予測修正率(9月)はそれぞれ▲3.7%、▲0.3%といずれもマイナスとなった。
予測指数を業種別に見ると、設備投資の持ち直しを反映し、はん用・生産用・業務用機械が2ヵ月連続で大幅増産計画(9月:前月比11.0%、10月:同12.0%)となっているほか、スマートフォンやタブレット端末向けの需要拡大を受けて電子部品・デバイス(9月:前月比6.2%)、情報通信機械(9月:前月比14.2%)が高い伸びとなり、全体を大きく押し上げている。ただし、両業種ともに足もとの生産計画は大幅に下方修正されているため(8月の実現率:電子部品・デバイス▲5.3%、情報通信機械▲12.9%)、実績値は生産計画から下振れる可能性が高いだろう。
13年8月の生産指数を9月の予測指数で先延ばしすると、13年7-9月期は前期比3.1%となり、3四半期連続の増産となることはほぼ確実とみられる。ただし、生産計画が下方修正される傾向が続いていることを考慮すると、実際には2%台の伸びにとどまりそうだ(4-6月期:前期比1.5%)。
大幅な円安にもかかわらず輸出が伸び悩んでいることを反映し、鉱工業生産の回復ペースは緩やかにとどまっている。ただし、先行きについては、消費税率引き上げ前の駆け込み需要に対応するため、自動車などの耐久財を中心に増産が見込まれることから、13年度末にかけて鉱工業生産は伸びを高めていく可能性が高いだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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