2013年05月13日

4月マネー統計~マネーが“じわり”と浸透、投信残高は過去最高に

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 伸び率は09年7月以来の2%台
・主要銀行貸出動向アンケート調査: 企業・個人の資金需要が増加
・マネタリーベース: 月間9兆円の大幅増
・マネーストック: マネーが“じわり”と浸透、投信残高は過去最高に

■introduction

貸出・預金動向(速報)によると、4月の銀行貸出(平残)の伸び率は前年比2.1%であった。伸び率の拡大は6ヵ月連続で、2%台乗せは2009年7月以来となる。アンケート調査によれば、企業・個人の資金需要が増加している。

4月のマネタリーベースによると、4月のマネタリーベース月間増加額は平残ベース(季節調整済み)で7.1兆円、末残ベース(季節調整前)では9.2兆円と、異次元緩和の目標達成ペースをクリアしている。この結果、4月末マネタリーベース残高は155.3兆円と過去最高を更新している。

また、マネーストック統計によると、4月のM2平均残高の伸び率は前年比3.3%、M3は同2.6%、広義流動性の伸び率も前年比2.0%と、各5ヵ月連続の拡大となった。伸び率の水準は、M2が09年9月以来、広義流動性は10年5月以来の高水準であり、M3については現行統計で遡れる04年4月以降で過去最高を記録している。まだ、突出したレベルではないものの、日銀のマネー供給拡大が市中にじわりと浸透してきた可能性がある。さらに特筆すべき動きは、投資信託(元本ベース)の前年比伸び率が6.2%と急拡大している点だ。これは08年9月以来の高い伸びにあたる。投資信託の残高は79兆円台と過去最高を更新した。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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