2012年12月28日

消費者物価(全国12年11月)~コアCPI上昇率は再びマイナスとなったが、先行きは円安が押し上げ要因に

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・コアCPIは再びマイナスに
・物価下落品目数の割合は5ヵ月連続で50%を上回る
・円安が物価押し上げ要因に

■introduction

総務省が12月28日に公表した消費者物価指数によると、12年11月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.1%(10月:同0.0%)となった。コアCPIは10月には6ヵ月ぶりにマイナス圏を脱したが、エネルギー価格の上昇幅縮小を主因として再び下落に転じた。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.1%、当社予想も▲0.1%)通りの結果であった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(10月:前年比5.8%→11月:同4.8%)、ガス代(10月:前年比2.9%→11月:同2.5%)、ガソリン(10月:前年比4.2%→11月:同2.6%)、灯油(10月:前年比4.9%→11月:同3.4%)の上昇幅がいずれも縮小したため、エネルギー価格の上昇率は10月の前年比4.6%から同3.5%へと縮小した。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.31%(10月は0.39%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.07%(10月は▲0.07%)、その他が▲0.34%(10月は▲0.33%)であった。
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、11月の上昇品目数は189品目(10月197品目)、下落品目数は268品目(10月は264品目)となった。上昇品目数の割合は36.1%(10月は37.6%)、下落品目数の割合は51.1%(10月は50.4%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は▲15.1%(10月は▲12.8%)であった。物価下落品目数は5ヵ月連続で50%を上回った。
10月に6ヵ月ぶりにマイナス圏を脱したコアCPI上昇率は11月には再びマイナスとなった。先行きについては、景気悪化に伴う需給面からの下押し圧力が続く一方、円安の影響が輸入物価の上昇を通じて国内物価に波及することが見込まれる。原油価格は横ばい圏で推移しているが、円安の影響からガソリン店頭価格は12月に入り4週連続で上昇している。コアCPI上昇率は当面ゼロ近傍で推移することが見込まれる。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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