2012年05月24日

マレーシア2012年1-3月期GDP:前年同期比+4.7%~内需の質は改善、今後は輸出の動向が重要に

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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■見出し

・現状:内需中心の堅調な成長
・輸出鈍化の悪影響が懸念

■introduction

マレーシア統計庁(DOSM)は5月23日に2012年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDP成長率は前年同期比(原系列)で4.7%の増加となり、昨年10-12月期の前年同期比+5.2%から伸びがやや鈍化した。
成長率の内訳を需要項目別に見ると(図表1)、内需が良好で、特に今期は個人消費と投資が成長を牽引している。1-3月期の個人消費は、前年同期比+7.4%と昨年10-12月期(前年同期比+7.3%)に引き続き好調さを維持している。投資については、1-3月期は前年同期比+16.1%となり、昨年10-12月期(前年同期比+8.4%)から大幅に伸び率を拡大させた。この要因としては、政府の公共投資や政府系企業の投資が活発だったことが背景にある。
一方で、今期の輸出については低迷している。原油や天然ガスなどの資源の輸出は堅調に推移したものの、半導体産業の不振によって電子機器が低迷を続けているほか、今期は電子機器以外の工業製品についても低迷した。そのため、輸出全体で見ると1-3月期の伸び率は前年同期比+2.8%となり、昨年10-12月期(同+5.5%)から鈍化した。輸入については内需の強さを背景に資本財や消費財が堅調に推移しており、1-3月期の伸び率は前年同期比+6.8%(昨年10-12月期は同+7.8%)と比較的高かった。結果として純輸出の寄与度は昨年10-12月期の▲1.3%ポイントから1-3月期には▲3.0%ポイントとマイナス幅が拡大した。
供給側(図表2)を見ると、主要産業のサービス業と製造業は底堅く推移しているものの、昨年10-12月期と比較するとやや鈍化した。一方、今期は建設業の伸びが前年同期比+15.5%と昨年10-12月期(同+7.5%)から増加しており、成長率を押し上げた要因となっている。

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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