2011年07月11日

6月マネー統計~貸出の持ち直しが続くが、まだ力強さには欠ける

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 銀行貸出残高は対前年▲0.6%
・マネタリーベース:日銀当座預金は高い水準を維持
・マネーストック:流動性資産が高止まり

■introduction

日銀が発表した貸出・資金吸収動向等によると、6月の銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は▲0.6%(前月は▲0.8%)と震災以降4ヶ月連続でマイナス幅が縮小した。依然としてマイナスだが、震災前は前年比▲2%前後で推移していたことを考えると持ち直しが続いている。内訳では、都銀等が前月同様前年比▲2.7%減、地銀が同1.6%増(前月は同1.3%増)と、地銀の伸びが拡大した(図表1~4)。
この持ち直しの動きは震災を受けた緊急融資や運転資金確保の動きを反映したものとみられる。今後、復興に向けた前向きの動きに伴う資金需要の増加が期待されるが、まだしばらく時間が必要なようだ。
なお、預貸バランスについて、季節要因を考慮せずに貸出金・預金等の前月差を見ると、貸出残高が前月比▲0.9兆円の減少となった一方、預金等は前月比0.3兆円増加しており、銀行システム全体としては、引き続き資金需給に特段逼迫感はないものとみられる(図表5)。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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