2011年04月12日

3月マネー統計:震災の影響で現金・預金にますます資金が集中

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 銀行貸出残高は対前年▲1.8%
・マネタリーベース: 震災の影響で資金供給量は5年2ヶ月ぶりの高水準に
・マネーストック: 流動性預金残高が過去最高に

■introduction

日銀が発表した貸出・資金吸収動向等によると、3月の銀行総貸出(平残)の前年比伸び率は▲1.8%と前月の同▲2.0%からマイナス幅が縮小したものの、16ヶ月連続の前年割れになった。震災の影響で、緊急融資や一部企業の資金確保の動きもあったとみられ、マイナス幅は6ヵ月ぶりの小幅となったが、貸出全体の減少トレンドを変えるには至っていない。
内訳では、都銀が前月と変わらず前年比▲4.6%減、地銀がやや上昇し同1.1%増(前月は同0.8%増)と、従来からの都銀マイナス・地銀プラスの構造に変化はない。(図表1~4)。
今後は復興に伴う資金需要の高まりが期待される一方で、企業マインド悪化に伴う設備資金需要低迷も懸念され、この強弱要因のバランスが銀行貸出のトレンドを左右する。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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