- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 設備投資 >
- 小売販売の動向と少子高齢化による今後の消費支出
■要旨
1.小売販売額は、昨年9月のリーマンショックを期に大きく減少した。一部、持ち直しの動きが見られるものの、回復のペースは遅く、いまだ不振は続いている。しかも、長期的に見ると、小売販売額は、1990年代初頭をピークに低下・横ばいのトレンドにある。
2.現在の急激な景気後退による影響は次第に解消されていくであろう。しかし、長期的にはどうなっていくのであろうか。特に、人口減少や少子高齢化の進展は、今後、消費支出や小売販売額に、どのような影響をどの程度与えるのだろうか。
3.そこで、われわれは少子高齢化の進展による、今後の消費支出への影響を試算した。それによると、全国の消費支出総額は、2010年は2005年に比べ微増の後(1%の増加)、しだいに減少し、2030年には同7%の減少という結果が得られた。このように、少子高齢化の消費支出総額への影響は、毎年1%強程度の減少と、比較的ゆっくりと進行し、さほど急激な影響を与えるものではない 。
4.ただし、世帯主年齢別には大きな差が見られた。今後、継続して消費支出総額の増加が期待できるのは、世帯主が70歳以上の世帯のみである。2005年を基準とすると、2030年の支出総額は、世帯主が70歳以上の世帯で53%の大幅な増加の一方、同60歳代で▲9%、同50歳代で▲11%、同40歳代で▲14%、同30歳代で▲35%、同30歳未満で▲33%であった。特に、40歳未満世帯の支出総額は、今後一貫して減少が続くと予測された。
5.今後、日本では、人口減少と少子高齢化の進展による、消費支出、小売販売額への影響は避けられない。当面、消費支出全体に急激な変化はない一方、誰もが同じ比率で影響を受けるのではなく、地域、顧客年齢、世帯種類、販売品目ごとに、影響に大きな格差が生じる可能性がある。特に、消費支出総額の減少が予測される品目や地域では、業態内および他業態との競合がこれまで以上に激しくなると予測される。今後は、全体として減少するパイの中で、いかに生き残っていくか、これまで以上に、事業者のアイデアと実行力が試される時代になってくると考えられる。
このレポートの関連カテゴリ
竹内 一雅
研究・専門分野
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年03月28日
“ガソリン補助金”について改めて考える~メリデメは?トリガー条項との差は? -
2024年03月28日
健康無関心層へのアプローチ -
2024年03月28日
中国経済:景気指標の総点検(2024年春季号) -
2024年03月28日
高齢者就業への期待と課題(中国) -
2024年03月28日
中国における結婚前の財産分与から見た価値観の変化
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
-
2023年04月27日
News Release
【小売販売の動向と少子高齢化による今後の消費支出】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
小売販売の動向と少子高齢化による今後の消費支出のレポート Topへ