2008年05月30日

消費者物価(全国08年4月、東京08年5月)~コアCPI上昇率は夏場にかけて2%に近づく可能性

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・暫定税率失効でコアCPI上昇率はいったん縮小
・コアCPI上昇率は夏場にかけて2%に近づく可能性

■introduction

総務省が5月30日に公表した消費者物価指数によると、4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.9%となり、上昇率は前月から0.3ポイント縮小した。事前の市場予想(ロイター集計:1.0%、当社予想も1.0%)を下回る結果だった。
食料(酒類除く)及びエネルギーを除く総合は前年比▲0.1%(3月:同0.1%)と2ヵ月ぶりの低下、総合指数は前年比0.9%(3月:同1.2%)であった。
コアCPIの内訳を見ると、暫定税率が一時的に失効したことに伴い、ガソリン価格の前年比上昇率が3月の19.0%から0.7%へと縮小し、コアCPIへの寄与度は0.4%程度縮小した(3月:0.46%→4月:0.02%)。さらに、自動車保険料(自賠責)の大幅値下げ(3月:前年比0.5%→4月:同▲26.6%)、自動車の値下げ(3月:前年比0.2%→4月:同▲1.2%)が加わり、自動車関係費は3月の前年比6.0%から同▲0.8%へと大きく低下した。
しかし、調理食品(3月:前年比2.1%→4月:同2.8%)、外食(3月:前年比1.1%→4月:同1.4%)を中心に、食料品(生鮮食品を除く)の上昇率が3月の1.8%から2.5%へ加速したこと、昨年10-12月期の燃料価格が反映されたことにより、電気代(3月:前年比1.3%→4月:同3.5%)、都市ガス代(3月:前年比1.2%→同3.4%)の値上げが実施されたことなどから、コアCPI上昇率の縮小幅(▲0.3ポイント)はガソリン値下げの影響(▲0.4ポイント)よりは小さなものにとどまった。
消費者物価指数の調査対象585品目(生鮮食品を除くと524品目)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(中間年見直しで追加された3品目はカウントせず)、4月の上昇品目数は293(生鮮食品を除くベース)となり、7ヵ月連続で半数を上回った。下落品目数は186で、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は20.5%となった(3月は22.6%)。前月に比べれば若干低下したものの引き続き上昇品目の割合が下落品目の割合を大きく上回っており、食料品を中心として、物価上昇が広範化する動きが続いている。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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