2008年02月18日

2月決定会合・福井総裁定例会見~デカップリングは少し考え方が甘すぎる

総合政策研究部 常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任 矢嶋 康次

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■見出し

・金融経済月報:需要項目の先行き見方を下方修正、4月展望レポートでの下方修正の準備
・定例記者会見:デカップリングを当然の前提として考えるのは、少し考え方が甘すぎる

■introduction

日銀は2月金融政策決定会合(14・15日)で現状維持を決めた。
福井総裁は会見で、「前回の会合以降、日本経済を取り巻く環境、日本経済自身の現状と見通しは、それほど大きな変化があったわけではない」との認識を示した。世界経済は「全体として拡大を続けているが、国際金融資本市場の動揺が続く中で、不確実性が増している」と述べ、米国については、「景気の減速傾向が一段と強まっている。住宅投資が大幅な減少を続けているほか、個人消費も足元では減速傾向がやや明確になってきている」と景気減速に言及した。
デカップリング論については「デカップリングを当然の前提として考えるというのは、少し考え方が甘すぎる」との認識を示し、米国経済の減速の影響が避けられないとの認識を示した。
日本経済については、「世界経済、あるいは国際金融資本市場、原材料高の影響などを含む不確実性に加え、国内景気も足元、住宅投資の減少などから、足元減速している」としながらも、「日本経済は生産・所得・支出の好循環メカニズムが基本的に維持される中で、緩やかな拡大が続く蓋然性が引き続き高い」と述べた。
今回金融経済月報で、先行きの海外経済、生産の見通しを下方修正している。まもなく決定される新総裁・副総裁の最初の大仕事は、4月展望レポートでどの程度の下方修正を行うのか、さらに利下げを意識した金融運営にシフトするのかどうかなどで、いきなり難しい舵取りが要求されそうだ。

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総合政策研究部   常務理事 チーフエコノミスト・経済研究部 兼任

矢嶋 康次 (やじま やすひで)

研究・専門分野
金融財政政策、日本経済 

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