2007年12月14日

与党税制改正大綱~消費税の社会保障目的税化が明記

篠原 哲

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■見出し

・将来的な消費税の社会保障目的税化を明記
・08年度改正の論点は証券優遇税制の延長と地域間の財政力格差
・注目される「ねじれ国会」による影響

■introduction

与党は、12月13日に「平成20年度税制改正大綱」を決定した。大綱は、毎年の税制改正の方向性を示すものであり、例年12月中旬に発表される。政府は、この大綱を踏まえて来年の1月の通常国会に、税制改正法案を提出することになる。
今回の大綱を見てみると、事前に注目されていた証券優遇税制については、優遇措置の一部が延長される方向性が示されており、地域間の税収格差の問題についても、地方特別法人税を創出することで、格差の是正を図ることなどが盛り込まれている。そのなかでも、最も注目すべきポイントとしては、やはり将来的な消費税の社会保障目的税化が明記されたことが挙げられるだろう。
消費税に限らず、税制改革に関する議論は、国民の負担増に繫がりかねない問題でもあるため、その時々の政治的な状況等の影響を受けやすい。実際に、消費税に関しては7月の参議院選挙まで、議論自体が事実上凍結されてきたのが現状である。
そのなかで、今回の大綱では、消費税に関する問題を単に先送りするのではなく、将来的に社会保障財源として消費税を充てていくという方向性を示したこと自体は、従来の大綱よりも進展した点として評価できる。実際の消費税の引き上げに際しては、景気動向や歳出削減の進展の度合いなども踏まえて判断する必要があるが、少子高齢化が進展するなかで、社会保障給付の財源として、消費税をどのように位置づけていくのか、また逆進性に代表される、引き上げの際の課題をどのように解決していくか、という点については、今後、議論が進展していくことが期待される。

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