2007年08月01日

評価・開示の適正化でDBは生き残れるか

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昨年、米国では年金保護法や新会計基準が導入された。今回の改正は、企業が持つ確定給付年金(DB)の債務を適切に評価・開示していく方針の一環であろう。適正に評価されたDBを、企業が適切にリスク管理するという金融理論の考え方によれば、改正が大きな問題にならないはずだが、実際は悪影響を及ぼしている。
米国EBRIの調査によれば、新規加入者や全加入者へのDB凍結など、大きな制度変更を行ったり、これから予定する企業が多数出てきている。従来は注記されていた積立水準が、バランスシート本体に記載されることによる財務指標のボラティリティー上昇、割引率に株式リスクプレミアムを加算できなくなる債務評価の変化に加え、現状の期待リターンの低下、などにも企業は関心を寄せているようである。
この理由は、企業がこれまで対応に努めてきた評価・開示方法が、あまりに本質から乖離したもので、このギャップを埋めて問題を解決するコストが大きいため、DB凍結などの手段に訴えざるを得なかったことにある、とも考えられる。実は、米国企業では加えて医療保険の問題がある。米国においてDBが生き残れるか、これから正念場を迎えよう。

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【評価・開示の適正化でDBは生き残れるか】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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