コラム
2007年07月13日

人口から見た経済大国日本の行方

櫨(はじ) 浩一

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7月11日は世界人口デーだったが、これは1987年のこの日に世界の人口が50億人を超えたことから、国連人口基金によって制定されたものだ。世界人口は増加を続けており、2007年時点では66.7億人に達したという。

さて、人口面から見ると、日本経済の成功の要因として国内の人口規模がある程度大きかったということが指摘できる。1950年の日本は人口規模が世界で第五位と、面積は狭いものの人口から見ればかなり大きな国だった。国内市場をインキュベータとして産業を育成し、世界市場に進出するという戦略がうまく働いた。

しかし、2005年時点では日本の人口規模は世界第十位に後退している。世界人口に占める日本の人口は、1950年には3.3%だったが2005年には2.0%となった。今後世界人口は増加を続けて2050年には約92億人に達すると見込まれる中で、日本の人口は減少する。2050年には日本の人口は世界人口の1%に低下してしまう。

人口規模の相対的な縮小に加えて、中国やインドなど人口大国が一人当たり経済規模を拡大すれば、日本市場は世界市場に比べて著しく小規模となる。うかうかしていると世界の中のごく小さい経済になってしまいかねない。

こうした中で、日本経済が活力を維持していくためには、いくつかの道がある。ドイツやフランスのように通貨はもちろん独立した経済を放棄して、ユーロ圏のような大きな経済圏を形成することもひとつの選択肢である。

欧州統合の歴史は第二次世界大戦直後に遡るが、もともと関係の緊密な欧州各国ですら欧州憲法の批准作業は難航している。統合の成果があがるまでには粘り強い努力と長い年月が必要だ。2050年の日本を見据えた戦略を考えるのに、50年弱という年月は決して十分とは言えない長さである。人口の転換点を迎えて、日本経済をどうするのか、長期的な戦略が求められている。
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櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)

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