2005年12月14日

短観速報~改善は緩やかだが、景気回復の裾野広がる

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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<12月短観~中小企業の業況判断DIの改善幅が大企業を上回る>

  1. 業況判断DIは大企業・製造業で21(前回9月調査19)と3期連続で改善した。大企業・非製造業は17(前回9月調査15)と2期ぶりに改善した。先行きについては、製造業は2ポイントの悪化、非製造業は横ばいが見込まれている。
  2. 大企業の景況感の改善は小幅にとどまったが、中小企業は製造業、非製造業とも大企業を上回る改善となった。景気回復の裾野が大企業から中小企業へと広がり始めている。
  3. バブル崩壊以降続いていた雇用過剰感が完全に解消され、企業はむしろ人手不足感を強めている。2006年度の新卒計画が大幅増となるなど、企業は雇用に対しても積極的な姿勢を見せ始めた。
  4. 景気の先行きを見る上でポイントとなるのは企業収益の先行きである。原材料費の上昇、人件費の増加に伴うコスト増から、売上高経常利益率の改善傾向は頭打ちとなっている。現段階では、売上の高い伸びがコスト増を十分に吸収しているが、売上の伸びが鈍化すれば、企業収益の悪化につながりやすい構造になっていることには注意が必要である。
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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