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- オフィスビル大競争時代の幕開け -需要縮小局面における勝ち組の条件
■見出し
1.クラスを越えるオフィス移転の連鎖
2.止まらない都心部の大型ビル供給
3.スペック競争の限界と勝ち組ビルの条件
4.オフィスビル大競争時代の勝ち組企業
■要旨
景気が低迷する中、2003年のオフィスビル大量供給で市況の悪化は確実だが、2004年以降もオフィス需要の回復が見込めなければ、最新鋭ビルへのオフィス統合移転をきっかけに、既存のAクラスビルからBクラスビル、そしてCクラスビルへと、クラスを越えたオフィス移転の連鎖が起こる可能性が高いと考えられる。
東京のオフィス市場では、2010年までにオフィス需要の減少局面に入るとみられる。一方、都市再生政策の追い風もあり、大規模再開発などによるAクラスビルの供給は2003年以降も続くと予想されるため、ビル間の競争はさらに激しくなるだろう。
都心部では、優良なオフィスゾーンが多核化して立地格差が縮小し、ビルストックの大型化で、規模の大きさも差別化条件になりにくくなっている。建物・設備スペック競争も限界に近づいてきていることから、大型ビルでは「近・新・大」に加えて新たな魅力付けが勝ち組の条件となるだろう。「近・新・大」ともいわれるAクラスビルが無条件で勝ち組ビルであった時代は終わりを告げ、オフィスビル大競争時代の幕が開いたのである。
オフィスビル大競争時代に勝ち組となるビル所有者は、(1)優良ビルを保有する、もしくは優良ビルを開発、取得する能力(資金力、開発力)を持つ、(2)ビルの価値を維持・向上できる能力(マネジメント力、資金力)を持つ、もしくはプロを活用する能力を持つ、(3)新しい時代に適したビジネスモデルを持つ、あるいは新しいビジネスモデルに転換する意志と能力を持つ、(4)都市再生政策を誘導・活用できる能力を持つ、といった条件の多くを満たす企業である。
このようにみれば、東京オフィス市場の「2010年問題」は、優勝劣敗の厳しい時代の到来を意味するものの、勝ち組の条件を満たす不動産会社やJREITにとって、必ずしも最悪のシナリオではないといえる。
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