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<概況>
米国経済は最近の指標をみると、このところ景気拡大ベースがやや鈍化しているものの、景気は引き続き底堅い動きを示している。
一方日本経済は、個人消費と設備投資を原動力に順調な景気拡大が続いている。'89年1-3月期の実質GNP成長率は前期比2.2%となり、年率9.1%の高成長を記録した。設備投資が引き続き好調だったうえ、前期に低迷した個人消費も消費税導入直前に発生した駆け込み需要を主因に増加したためである。
企業収益は一段と増加しており、企業の業況判断も良好感を増している。法人企業動向調査('89年3月実施)によると、'89年度設備投資は前年比8.7%増(電力除き同9.9%増)と計画されている。期毎でも、4-6月期前期比5.6%増、7-9月期同6.3%増と高い伸びであり、今年度も設備投資は2桁増が期待出来よう。
又、日銀短観('89年5月調査)によると、先行き今年度下期にかけての主要企業・製造業の売上げ計画は、内需の腰の強さに加え、輸出の緩やかな増加見通しから、引き続き好調が見込まれており、増益基調持続が予測されている。
物価環境をみると、5月の東京都区部消費者物価は生鮮野菜等の値上がりや一部で消費税転嫁が進んだため、前月比0.6%(4月同1.8%)上昇となった。
又、5月の国内卸売物価は前月比0.2%上昇したとともに輸入物価が、為替円安の影響により同3.5%上昇、輸出物価も同1.9%上昇したため、総合卸売物価は同0.7%の上昇(4月同1.7%上昇)となった。
物価は安定圏内にあるとは言えるものの、景気堅調に伴う製品・労働需給の引き締まり、入着原油価格の上昇、為替の円安推移による輸入物価の上昇等を踏まえると、物価上昇圧力は引き続き高まっていくことが考えられる。
日銀短観でも、製品・労働需給に関する判断は、先行きも引き締まり傾向持続が見込まれている。価格に関する判断は、為替円安・原油高もあって、仕入価格が続伸の見通しとなっている他、製品価格も先行き下げ止まりが予想されている。
貿易動向についてみると、通関輸出(数量ベース)は、4月前月比9.9%減の後、5月(速報)は自動車等により2.7%滅となった。地域別(ドルベース)にみると、アメリ力、西欧向け等が減少した。
通関輸入(同)は、4月前月比23.0%減の後、5月(速報)は16.7%増となった。原油輸入価格(CIFベース)は、5月1バーレル当たり18.0ドルと前月に比べ、1.1ドル上昇した。最近数ヶ月の動きを品目(ドルベース)にみると、鉱物性燃料、食料品等が増加している。地域別では、中近東、東南アジア等からの輸入が憎加している。
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