1988年10月01日

米国産業の国際競争力回復について

大山 博史

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■見出し

1.米国産業の競争力の動向について
2.米国産業と業種別輸出入動向
3.終わりに

■米国産業の競争力の動向について

【競争力に関する研究】

この数年、米国産業の競争力強化を検討する組織が種々誕生した。

'86年12月に、ヒューレット・パッカード社のヤング社長が「競争力協議会」を設立し、産業競争力大統領諮問委員会報告(ヤングレポート)を提出した。政府レベルでは'86年8月経済関係閣僚会議の下に「国際競争力問題作業グループ」が発足し、議会レベルでも'87年初「競争力問題超党派協議会」が出来た。

'88年に入り、マサチューセッツ工科大学は「産業生産性委員会」を発足させ、長期的・構造的観点から米国産業の競争力を分析している。その中間報告によれば、米国産業は以下の5つの構造的かつ基本的な問題点があると指摘した。

(1)短期的視野に基づく経営、財務成績に過度に重点を置きがちである為、研究開発(R&D)投資不足、人材・設備投資不足を招いている。

(2)広く世界をを見ない。外国の競争相手の経営戦略に関する知識・情報が少ない。

(3)企業内における協調体制、競争相手との調和、下請け企業との協力が不十分である。

(4)人的資源の管理、人材活用面での遅れ。研修、動機付けは単なる費用項目の一つと見なされるべく切り詰められている。

(5)構造がシンプルで故障が少なく、品質の高い製品を作り出す目的に技術が利用されていない。

一方、最近ニューヨーク連邦準備銀行は、米国製造業の(中期的な)競争力についての調査結果を発表している。それによれば米国産業の競争力低下は、'80年代前半のドル高に伴い価格面で競争力が弱まったのが最大の原因と分析、最近の競争力回復も'85年以降のドル高是正が大きく寄与していると指摘している。

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