コラム
2009年06月19日

20年後のツレ合い事情

明田 裕

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厚生労働省が年金の試算で標準モデルとしている「妻はずっと専業主婦で勤労経験なし」の妥当性については、各方面から疑問が呈されているが、実は、未婚率の上昇と離婚の増加により、「有配偶」という前提すら崩れかけている。

退職、年金受給を目前に控えた50代後半層の有配偶率は、直近国勢調査時点の2005年には男女とも80%を超えていたが、今から約20年後の2030年には、男女とも60%台前半にとどまる見通しである(図1。国立社会保障・人口問題研究所の推計による)。生涯未婚率の急上昇がその主たる要因といえる。
(図1)50代後半層の配偶状況の変化
視点を変えて、第2次ベビーブーマー層(1970年代前半生まれ)についてみてみよう。当該層は直近国勢調査時点の2005年には30代前半であったが、今から約20年後の2030年には50代後半となる。この間に配偶関係がどう変化するかをみたものが図2である(下段は図1と同じ)。未婚率は当然低下するものの、離婚の増加により、有配偶率はさほど上昇しないと推計されている。特に、女性については、新たに結婚する人と離婚する人がほぼ相殺し、有配偶率はほとんど上がらない。
(図2)第2次ベビーブーマー(1970年代前半生まれ)の配偶状況の変化
20年後の50代後半層の有配偶率が60%台前半にとどまるということは、世帯数で見れば、当該層で、単身世帯の数が夫婦世帯の数を上回ることになる。当該層が夫婦で暮らしているということを前提とした社会の仕組みは徐々に変革を迫られることとなるのではなかろうか。

これは20年後の一つの姿であるが、当ニッセイ基礎研究所では、このほど、20年後の日本を見通すことにチャレンジし、『図解 20年後の日本-暮らしはどうなる? 社会はどうなる?』(日本経済新聞出版社)を出版した。ご一読いただければ幸いである。
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