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- 朝方勤務と働き方の改革-日本版夏時間の意義
1――夏時間
外国に行った際に日本とは時差があるので、飛行機が到着した際に現地の時刻に合わせて腕時計の針を進めたり遅らせたりしなくてはならないのは感覚的にも受け入れられる。しかし、日常生活では時間は常に一定の速度で進んでいくという常識からすると、ある日突然時間がジャンプしたり、逆戻りしたりするというのは何とも変な感じがする。
夏時間に切り替わる瞬間に、時計がどうなるのか眺めていると、スマホは午前2時になるはずのところで自動的に午前3時に表示が変わった。しかし、ホテルの部屋の目覚まし時計は自動的には時刻が変わらなかったので、うっかり時刻の設定変更を忘れると寝坊して飛行機に乗り遅れるということもあるだろう。慣れればたいしたことではないだろうが、馴染みのない人間にとってはホテルの気遣いは大変ありがたかった。
2――夏の生活スタイル変革
夜の余暇時間が長くなることや、明るい時間を有効に使えるので照明の節約になり省エネルギーや地球温暖化防止に役立つ、といった理由で、日本でも夏時間を導入すべきだという動きは昔からあったが、なかなか実現はできなかった。時間は同じ速度で進み、逆戻りしないという常識との間で抵抗感があったからではないか。
時計の方を変えなくても、人間の生活の方を1時間早めたり、遅らせたりすれば良いのだから、時計の時刻を変える夏時間の導入よりも、こちらの方が日本社会には受け入れやすいだろう。
エネルギーの利用方法が大きく変わってきたため、我々の生活時間を一時間早めてもエネルギーの節約になるとは限らない。しかし、朝方勤務の取り組みの本当の意義は、別のところにあると考える。
3――効率的に働く社会
深夜まで灯りが消えない霞が関の長時間労働は、日本の間接部門の効率改善が必要であることの象徴だ。残業できないとなれば、本人がより効率的に働こうとするだけでなく、仕事を頼む側も業務の優先順位の見直しが必要になるはずだ。少々乱暴なやり方であることは確かだが、働き方の効率化のきっかけとなるだろう。
公務員がさっさと帰るのはけしからんなどということは言わないで、これが皆で効率良く働くきっかけになることを期待しようではないか。
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櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)
研究・専門分野
(2015年05月12日「基礎研マンスリー」)
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