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欧米生保市場定点観測(毎月第二火曜日発行) EU域内の生命保険会社の状況―揺れる欧州、生保会社の経営はだいじょうぶなのか―
松岡 博司
■要旨
生命保険料収入で35.6%の世界シェアを有するEUは、アジア、北米を凌ぐ世界最大の生保マーケットである。
EU域内の生保会社は、芳しくないマクロ経済状況、低金利環境の継続という、厳しい環境の中、経営を行っている。
生命保険料収入が2年続けて増加するなど、直近の経営状況はそれなりに安定しているが、EUの保険・年金監督機関であるEIOPAは、「全般的に見て、生命保険料の成長は限定的なものに留まっている」、「(域内生保会社の)総資産利益率も低水準に留まっている」としている。
またストレステストの結果、「ほとんどの国の生保会社の負債(保険商品)の平均期間の方が資産の平均期間よりも長いこと」、「多くの国で、資産の平均利率の方が、保険商品で保証しているレートの平均値よりも低いこと(=逆ざや状態であること)」が明らかになった。
来る2016年には新たな健全性監督手法であるソルベンシーIIが実施に移される。
ソルベンシーIIは、EU内の保険規制を現代化しハーモナイズさせる上で避けては通れない大きなステップと位置づけられているが、この時点でのスタートがふさわしっかったのかどうかは、後年の判断を待たねばならないように思われる。
松岡 博司
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(2015年08月11日「基礎研レター」)
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