2015年05月26日

原油安により中小企業も収益改善へ~遅れていた地方の景況回復に期待

岡 圭佑

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■要旨

日銀短観の14年度経常利益計画(全規模・全産業)を地域別にみると、北海道(前年比▲8.0%)、北関東(同▲5.4%)、九州・沖縄(同▲10.1%)など減益が目立つ地方とは対照的に、南関東(同9.0%)、東海(同6.5%)、近畿(同13.4%)などの都市部では総じて増益傾向が強い。こうした背景には、アベノミクスによってもたらされた円安が、都市部に多い大企業の収益押し上げに大きく寄与していることが挙げられる。

円安は中小企業製造業にとってはプラス効果が小さく、マイナスの影響が比較的大きいことが、都市部に多い大企業と地方に多い中小企業の収益格差を拡大する要因となっていた。しかし、こうした厳しい環境下にある中小企業の収益環境に改善の兆しも見えつつある。

日銀短観の15年度経常利益計画によると、大企業製造業が引続き好調を維持する一方、低調であった中小企業製造業は大企業製造業の伸びを上回るなど改善期待が高まっている。加えて、足元の原油安は中小企業の業績改善を後押しする。

15年度は、円安のメリット・デメリットの双方が顕在化する中、中小企業にとって原油安が追い風となろう。中小企業を中心とした業績改善が地方経済の活性化に寄与することが期待される。

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(2015年05月26日「基礎研レター」)

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