2014年09月18日

貿易統計14年8月~自動車を中心に米国向け輸出が減少

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・輸出入ともに減少
・米国向け自動車輸出の大幅減少が続く

■要旨

財務省が9月18日に公表した貿易統計によると、14年8月の貿易収支は▲9,485億円の赤字となった。輸出(7月:前年比3.9%→8月:同▲1.3%)、輸入(7月:前年比2.3%→8月:同▲1.5%)ともに前年比で減少に転じたが、輸出の減少幅が輸入の減少幅よりも若干小さかったため、貿易収支は小幅ながら2ヵ月連続で前年よりも改善した。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲2.9%(7月:同1.0%)、輸出価格が前年比1.6%(7月:同2.9%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲4.6%(7月:同▲0.3%)、輸入価格が前年比3.2%(7月:同2.7%)であった。輸出入ともに数量の伸びが前月から大きく低下したが、今年の8月は平日(月~金)が昨年よりも1日少なく、通関日数が少なかったことも影響している可能性があることには留意する必要がある。

8月の輸出数量指数(当研究所による季節調整値)を地域別に見ると、米国向けが前月比▲3.2%(7月:同1.7%)、EU向けが前月比▲2.1%(7月:同2.8%)、アジア向けが前月比▲2.0%(7月:同4.5%)、全体では前月比▲0.5%(7月:同0.6%)であった。8月はいずれの地域向けも減少したが、7、8月の平均を4-6月期と比べると、米国向けが▲2.1%、EU向けが+0.7%、アジア向けが+0.8%となっており、特に米国向けの弱さが目立つ。米国向け輸出の内訳を見ると、自動車輸出の落ち込みが全体を大きく押し下げている。自動車輸出はEU向け(8月:前年比33.8%)、中国向け(8月:前年比17.7%)などは好調を維持しているが、米国向けが前年比▲13.5%と7月(同▲10.3%)に続き二桁の落ち込みとなったため、全体でも前年比▲2.9%と3ヵ月ぶりの減少となった。米国内の自動車販売は好調に推移しているが、日本企業は現地生産の拡大によって対応しているため、日本からの輸出につながっていない。
8月の輸入数量指数(季節調整値)は前月比▲1.7%(7月:同▲0.8%)となった。7、8月の平均は4-6月期よりも+0.3%高い水準となっているが、4-6月期に前期比▲5.1%と急速に落ち込んだことを考えれば輸入の基調は弱い。駆け込み需要の反動減の影響が和らいでいるにもかかわらず国内需要の回復が遅れていることを反映したものと考えられる。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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