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- 貿易統計14年5月~円安一巡と消費増税後の内需低迷から輸出入ともに減少
■見出し
・輸出入金額がともに前年比で減少
・輸出は一進一退が続く
■要旨
財務省が6月18日に公表した貿易統計によると、14年5月の貿易収支は▲9,090億円の赤字となった。輸出が前年比▲2.7%(4月:同5.1%)、輸入が前年比▲3.6%(4月:同3.4%)とともに減少に転じたが、輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、前年に比べた貿易収支は2ヵ月連続で改善した。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲3.4%(4月:同2.0%)、輸出価格が前年比0.7%(4月:同3.0%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲4.0%(4月:同▲1.3%)、輸入価格が前年比0.5%(4月:同4.7%)であった。
輸出数量は海外経済の弱さという循環的要因に加え、海外生産シフトの進展といった構造的要因から低迷が続いており、輸入数量は消費増税後の内需低迷を反映し大きく落ち込んでいる。こうした中、円安の一巡から輸出入価格がともに前年比でほぼ横ばいとなったため、輸出金額は1年3ヵ月ぶり、輸入金額は1年7ヵ月ぶりに前年比で減少に転じた。
季節調整済の貿易収支は▲8,622億円の赤字となったが、4月の▲8,805億円からは赤字幅が若干縮小した。14年度入り後は、内需低迷を主因とした輸入の落ち込みから13年度後半に比べて貿易赤字は大きく縮小している。ただし、海外生産シフトの進展といった構造的な要因もあり輸出の回復ペースは緩やかなものにとどまること、14年度半ば以降は内需の持ち直しに伴い輸入が再び増加に転じることから、赤字幅は再び拡大する可能性が高い。現時点では14年度の貿易収支は▲12兆円台の赤字になると予想している(13年度は▲13.8兆円)。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の4、5月平均を1-3月期と比べると、米国向けが+0.2%、EU向けが+2.1%、アジア向けが▲0.3%、全体では▲0.7%となっている。米国向け、EU向けは比較的底堅いが、ASEAN諸国を中心とした新興国経済の弱さを反映し、アジア向けが低調な動きを続けている。大幅な円安が進行し始めてから約1年半が経過したが、輸出は依然として一進一退の状況を脱してない。
輸入数量指数(季節調整値)は消費増税後の内需の悪化を反映し、4月に前月比▲8.4%と急速に落ち込んだ後、5月も同▲1.3%と減少が続いた。4、5月の平均は1-3月期よりも▲5.8%低い水準にある。
GDP統計の外需は3四半期連続でマイナスとなったが、14年4-6月期は輸入の減少を主因として成長率の押し上げ要因となる可能性が高い。
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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