2014年02月03日

【アジア新興経済レビュー】輸出主導経済で回復感が強まる

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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  1. (実体経済)
    1月は韓国、台湾、フィリピンで2013年10-12月期のGDPが公表された。韓国、台湾では、7-9月期より成長率が加速しており、輸出主導経済の回復が明らかになってきたと言える。フィリピンは台風による影響が懸念されたが、減速幅は小さく影響は限定的だった。
  2. (インフレ率)
    インフレ率はインドネシアとインドで高い状態が続いている。インドネシアでは6カ月連続での8%超、インドはピーク時よりは低下しているものの、依然として6%台の上昇率が続いている。また、フィリピンでも台風被害によって食料品を中心に価格が上昇しており、足もとのインフレ率が急速に高まっている。
  3. (金融政策)
    インドでは1月にサプライズとなる利上げ(0.25%)を実施した。ただし、同じように高インフレ、経常赤字、ルピア安であるインドネシアは景気下振れへの配慮から政策金利を据え置いた。その他の国・地域でも政策金利の変更はされていない。
  4. (1月の注目ニュース)
    1月は年初ということもあり、国政や外交政策などの方針演説が韓国や台湾などでなされた。特に韓国の朴大統領は「経済革新3カ年計画」を公表、公営企業改革や中小企業の育成、規制緩和に取り組むことで内需を活性化させる方針を示し、中期的な目標を掲げた。ただし、現時点では、詳細な内容について不透明な部分も多い。
    また、タイのデモは3カ月以上続いている。与党は総選挙を決行したが、すぐに国会を招集できる状況ではないため、さらなる対立の長期化が予想される。こうした状況のなか、タイの国家汚職追放委員会はインラック暫定首相に対して、コメ担保融資制度における汚職と損失に対する責任で調査を行うことを決定するなど、反タクシン派が攻勢を強めている。
  5. (2月の注目点)
    2月にはマレーシア、タイ、インドネシア、インドで2013年10-12月期のGDPが公表される。インフレ、通貨安に見舞われたインドネシア、インドでは、利上げの影響が顕在化してくる頃であり、また、タイでは大規模なデモが発生した時期と重なるため、実体経済への影響を確認する意味で注目と言えるだろう。
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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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