2013年07月24日

貿易統計13年6月 ~4-6月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・貿易赤字(季節調整値)は縮小傾向
・米国向けが輸出を牽引
・4-6月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに

■introduction

財務省が7月24日に公表した貿易統計によると、13年6月の貿易収支は▲1,808億円と12ヵ月連続の赤字となり、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲1,550億円、当社予想は▲1,795億円)を若干上回った。輸出の伸びが5月の前年比10.1%から同7.4%へと低下する一方、円安、原油高による輸入価格の大幅上昇を主因として輸入が5月の前年比10.1%から同11.8%へと伸びを高めたため、前年に比べた貿易収支の悪化幅は前月よりも拡大した。
季節調整済の貿易収支は▲5,987億円と28ヵ月連続の赤字となったが、5月の▲7,779億円からは赤字幅が縮小した。輸出が前月比1.1%(5月:同3.2%)と7ヵ月連続の増加となる一方、6月は5月に比べ円高が進んだこともあり、輸入が前月比▲1.7%(5月:同4.7%)と2ヵ月ぶりの減少となった。四半期ベースの貿易赤字は13年1-3月期の▲10.6兆円(季節調整済・年率換算値)から4-6月期は▲8.2兆円へと縮小しており、円安効果を主因として貿易赤字の拡大傾向には歯止めがかかりつつあると判断される。
4-6月期の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)で見ると、米国向けが前期比6.8%(1-3月期:同2.1%)、EU向けが前期比0.2%(1-3月期:同▲2.8%)、アジア向けが前期比1.3%(1-3月期:同0.2%)、全体では前期比1.5%(1-3月期:同▲1.3%)となった。景気が堅調に推移する米国向けは前期から伸びを大きく高めたが、景気後退が続くEU向け、中国を中心に景気が減速しているアジア向けは低い伸びにとどまった。特に、EU向けは直近のピークである2011年7-9月期に比べると3割近く低い水準となっている。
6月までの貿易統計と5月までの国際収支統計の結果を踏まえて、4-6月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比3%程度の増加、輸入が1%台半ばの増加となることが見込まれる。この結果、4-6月期の外需寄与度は前期比0.2%(1-3月期:同0.4%)と2四半期連続のプラスとなることが予想される。
現時点では、4-6月期の実質GDPは、外需が2四半期連続で成長率の押し上げ要因となることに加え、国内需要が民間消費、公的固定資本形成を中心に高い伸びとなることから、前期比年率4%程度の高成長になると予想している。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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