2013年05月31日

消費者物価(全国13年4月)~東京都区部のコアCPIが4年2ヵ月ぶりの上昇

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し


・コアCPIのマイナス幅縮小
・物価下落品目数の割合は10ヵ月連続で50%を上回る
・東京都区部のコアCPIが4年2ヵ月ぶりの上昇

■introduction

総務省が5月31日に公表した消費者物価指数によると、13年4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.4%(3月:同▲0.5%)と6ヵ月連続のマイナスとなったが、下落率は前月から0.1ポイント縮小した。
コアCPIの内訳をみると、電気代(3月:前年比3.4%→4月:同4.2%)の上昇幅は若干拡大したが、灯油(3月:前年比4.4%→4月:同0.5%)の上昇幅が縮小し、ガソリン(3月:前年比0.6%→4月:同▲2.0%)が8ヵ月ぶりに下落に転じたため、エネルギー価格の上昇率は3月の前年比2.2%から同1.3%へ低下した。
一方、自動車保険料の値上げ(自賠責~3月:前年比0.0%→4月:同13.6%、任意~3月:前年比1.6%→4月:同5.4%)がコアCPIの下落率縮小に寄与した。
コアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.12%(3月は0.19%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.13%(3月は▲0.13%)、その他が▲0.39%(3月は▲0.56%)であった。
13年5月の東京都区部のコアCPIは前年比0.1%(4月:同▲0.3%)と、2009年3月以来4年2ヵ月ぶりの上昇となった。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.2%、当社予想は▲0.1%)を大きく上回る結果であった。
電気代、ガス代の上昇幅拡大などからエネルギー価格の上昇率が4月の前年比5.4%から同8.3%へと拡大したこと、被服及び履物が前年比0.1%(4月:同▲0.4%)と8ヵ月ぶりの上昇となったこと、テレビ、パソコンなどの教養娯楽耐久財の下落率が4月の前年比▲15.7%から同▲1.8%へと大きく縮小したことなどがコアCPIを押し上げた。
テレビは4月の前年比▲23.1%の大幅下落から同0.9%へと転じ、これだけでコアCPIの上昇率は0.1ポイント以上押し上げられた。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.49%(4月は0.32%)、食料品(生鮮食品を除く)が▲0.17%(4月は▲0.17%)、その他が▲0.22%(4月は▲0.46%)であった。
5月の東京都区部の結果をもとにすると、5月の全国のコアCPI上昇率は前年比でゼロ近傍となることが予想されるが、関西電力、九州電力の電気料金値上げが反映されることを考慮すればプラスに転じる可能性もあるだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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