2014年02月07日

金融市場の動き(2月号)~円相場と日本株の宿命とは?

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. (為替・株) 1月下旬から2月上旬にかけて、新興国不安や米国経済の先行き懸念などから世界的にリスクオフ地合いとなった。これらは完全な海外発材料にもかかわらず、日本株の下落率と円の上昇率は突出することになった。昨年5月のバーナンキ発言後も同様であったが、海外発材料の影響がドル円・日本株市場では増幅されている。影響が増幅される理由は3つあると考えられる。それは、「投機筋の円売りポジション」、「本邦長期金利の膠着」、「日本株とドル円相場の相互依存関係の高まり」だ。つまり、日本株と円相場が世界経済の影響を相対的にも大きく受けるのは、構造的・複合的な要因によるものと考えられる。従って、現状では避けられないものと言え、いわば宿命として受け止めざるを得ない。米経済の回復は続くとみられることから、今後の円安・日本株高シナリオはまだ生きている。ただし、世界経済は未だ多くのリスクを抱えている。海外材料が増幅されて影響するという宿命により、リスクオン局面では円安・株高が、リスクオフ局面では円高・株安が進みやすくなっており、不安定な展開が予想される。
  2. (日米欧金融政策) 1月は日欧では現行の政策が維持されたが、FRBがさらなる量的緩和縮小を決定した。新興国不安の一因に米金融政策の転換があるのは疑いが無く、今月FRB議長に就任したイエレン氏の手腕が早速試されることに。
  3. (金融市場の動き) 1月は新興国不安が高まり、円高ドル安が進行。金利はやや低下、ユーロドルも下落した。今後、米経済の堅調さが確認されることで警戒感は和らぐと見ているが、新興国不安が完全には払拭されないことや米債務上限問題などから、ドル円と長期金利が昨年末の水準を回復するには時間がかかりそうだ。


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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

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