2013年09月19日

日銀短観(9月調査)予測-大企業製造業の業況判断D.I.は4改善の8を予想

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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  1. 9月調査日銀短観では、注目度の高い大企業製造業で3四半期連続となる景況感改善が示されると予想する。前回調査以降、ドル円相場は概ね100円弱の水準を維持、米経済が引き続き堅調であるほか欧州も底入れし、輸出は持ち直している。国内では消費が底堅く推移、公共事業や住宅需要の増加もみられる。従って、今回も企業規模や製造・非製造業を問わず景況感が改善し、特に円安の好影響を受けやすい製造業の改善が非製造業を上回りそうだ。ただし、円安と原油高に伴う原材料価格上昇や電気料金値上げ、新興国経済の低迷などが景況感の抑制要因となるため、改善幅は前回に比べて小幅に留まると見る。先行きも、米経済などの回復やアベノミクスへの期待から、全体としては小幅ながら景況感の改善を予想する。ただし、中小企業ではほぼ横ばい推移に留まると見ている。
  2. 設備投資計画も幅広く上方修正されると予想。例年9月調査では上方修正となる傾向が強いうえ、収益改善等に伴って設備投資の実勢にも前向きの動きが見られるためだ。例年よりも上方修正幅がやや大き目となると予想。
  3. 今回の短観は、安倍政権が消費税増税を判断するための最終材料となるため、いつにも増して注目度が高い。内容は全体的に堅調と予想され、予定通りの増税を撤回する理由にはならないだろう。そうした中で、特に注目されるのは設備投資計画の上方修正がどこまで上積みされるかだ。設備投資は賃金と並んでアベノミクスの波及が遅れている領域だ。企業がこれまでの慎重姿勢を修正し、アベノミクス成功の次なるカギとも言える設備投資本格化へ舵を切る兆しが見えるかどうかが問われる。

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

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