2013年04月12日

家計のインフレ期待をどうみるか

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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  1. アベノミクスへの期待、金融緩和姿勢の強化に伴う円安、株高を背景として、このところ消費者心理は大幅に改善しており、家計のインフレ期待にも変化の兆しが見られる。
  2. 「消費動向調査」、「生活意識に関するアンケート調査」では、1年後の物価上昇を予想する家計の割合が2013年に入って急上昇している。
  3. ただし、家計のインフレ期待にはもともと上方バイアスがあり、1年後の物価上昇を予想する家計の割合、消費動向調査から試算した期待インフレ率は過去に比べてとりわけ高いわけではない。
  4. また、家計の物価予想は足もとの物価動向に左右される傾向がある。消費者物価は小幅な下落が続いているが、電気代、ガソリンなど購入頻度の高い品目の価格が上がっているため、家計が物価上昇を強く意識するようになっていると考えられる。
  5. インフレ期待が高まれば、実際の物価も上昇するというのは楽観的すぎる。デフレ脱却の実現は、需給バランスの改善に伴い現実の物価上昇が一定期間継続することによって家計のインフレ期待が定着し、このことが先行きの安定的な物価上昇につながるという形になる可能性が高い。



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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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